中国のアリババ集団が上場することに伴い、株主であるソフトバンク(IFRS採用)が2014年4~9月期の連結決算で約5000億円の持ち分変動利益を計上するという記事。
「今回の持ち分変動利益はアリババが上場後に実施した公募増資などで、アリババの資産規模が変わったことに伴う会計上の利益で、現金収入が生じるわけではない。ソフトバンクは「アリババの株は保有し続ける」という方針は変わらないとしている。」
アリババの「資産規模」というより、「純資産の規模」が変わったことの影響でしょう。
アリババが増資すれば、アリババの発行済み株式の数が増えることにより、ソフトバンクの持分が薄まって目減りする効果と、アリババの純資産が増えてソフトバンクの持分が増える効果が生じるわけですが、今回のケースでは後者の方が圧倒的に強くて巨額の利益を計上することになるのでしょう。(日本基準でも同じ)
アリババはソフトバンクの関連会社であり持分法適用会社ですが、これが連結子会社であれば、まったく会計処理が異なります。子会社の増資は連結ベースでも資本取引ということで、連結グループの純資産が増えるだけであり、親会社の持分が増える結果となっても、それは資本の中の構成が変わったという取引にすぎず、利益は計上されません(支配が継続する場合)。
持分法は「1行連結」ともいわれますが、このように連結とは全く異なる損益になるケースもあり、不適切ないい方なのかもしれません。
持分変動利益の計上に関するお知らせ(ソフトバンク)(PDFファイル)
アリババ、NY上場 最大2兆7000億円調達(産経)
「中国の電子商取引(EC)大手、阿里巴巴集団(アリババ・グループ)は19日、ニューヨーク証券取引所に上場した。アリババは上場で約217億ドルを調達。株式の追加発行が行われれば、調達額は最大で約250億ドル(約2兆7千億円)となり、2010年に香港と上海で上場した中国農業銀行の約221億ドルを超えて、史上最大規模になるとみられている。」
アリババ上場、経営に追い風=含み益5兆円超-ソフトバンク(時事)
「中国電子商取引最大手の阿里巴巴(アリババ)集団の株式上場は、3割超の株式を保有する筆頭株主のソフトバンクの業容拡大に追い風となりそうだ。ソフトバンクは2000年、創業間もないアリババに約20億円を出資した。今年3月末時点の簿価は1311億円だが、上場で含み益は5兆円超になるとみられている。」
ソフトバンクが発表した5000億円の利益というのは、アリババの純資産の「帳簿価額」が増えたことによるものであり、アリババ株を時価評価した結果ではありません。今後、(関連会社のままで)一部売却したり、何らかの理由により、関連会社から外れるようなことがあれば、ソフトバンクの決算書上も時価を反映した利益が計上されることになるのでしょう。(株は売らないと言っているようですが)
NY市場、時価総額25兆円に沸く 中国のアリババ上場(朝日)
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