アングル:中国、国有5社の米上場廃止方針は監査問題巡る妥協のシグナルか
米国当局による監査人に対する検査を拒否している中国国有企業5社が、米国での上場を廃止することを決めたことは、会計監査問題で中国政府が米国に対して妥協に応じる兆しではないかとの見方があるという記事。
「米国側はこれまでも、中国企業が上場廃止を避けたいなら、完全な監査文書提供という米政府方針を順守しなければならないと主張してきた。そうした中で監査協力の枠組みを巡る両国の協議が続いてきた経緯がある。
これに対し、一部の専門家の見立てによると、今回の国有5社の上場廃止方針は、米上場民間中国企業の監査でなら米当局に協力できるという中国側からのシグナルだという。
資本市場問題を扱う香港の弁護士の1人は「国有企業の上場を廃止することで、中国側は協議で歩み寄りがしやすくなる」と指摘した。データの重要性という面で、中国政府は民間企業の多くに比べ一部国有企業の会計の方にアクセスされるのを懸念していると説明した。」
「SECのある高官は今年5月、米国基準に従うには「機密性が高すぎる」とみられる幾つかの企業について中国側が自主的な米上場廃止に同意すれば、中国の残りの企業や監査法人が米国側の査察と調査を受け入れ、米国における取引禁止を避けられるとのシナリオを示していた。」
中国国有企業は、監査調書を絶対に米国当局に見られたくないから、妥協できないが、それ以外の民間企業(中国で純粋に民間企業というのがあるのかどうかはわかりませんが)なら、検査を受けてもいいということなのでしょう。
ただ、記事によれば、政治状況も絡んでいるし、上場廃止したからといって、当局の検査対象から外れるわけではないので、妥協は難しいという見方もあるそうです。
(米国で上場廃止になる中国企業を、東証が全部引き受けることができれば、国際金融センターに一歩近づけそうですが、米国からはにらまれることでしょう。)