オリンパスが「取締役責任調査委員会」調査報告書を開示し、報告書で責任が認定された役員に対し、36億1000万円の損害賠償を求める訴えを起こしたという記事。
「オリンパスは10日、巨額損失隠し問題にからんで歴代経営陣の責任の有無を調べていた「取締役責任調査委員会」が提出した調査報告書を開示した。報告書は高山修一社長ら現職の取締役6人を含む計19人の責任を認定し、会社に与えた損害額を最大859億円とした。
オリンパスは支払い可能額などを勘案し、8日付で東京地裁に連帯債務として36億1000万円の損害賠償を求める訴えを起こした。」
オリンパス損賠請求リスト!歴代経営陣に1億~36億円(夕刊フジ)
こちらの記事では、現旧取締役への賠償請求金額リストが掲載されています。10億円以上は以下の4名です。当然のことながら、粉飾を行った、あるいは知っていた役員は高額になっています。
下山敏郎 10億円
岸本正寿 10億円
菊川剛 36億1000万円
山田秀雄 30億1000万円
森 久志 28億1000万円
取締役責任調査委員会の調査報告書(要約版)(PDFファイル)
取締役責任調査委員会の調査報告書(PDFファイル)
要約版の報告書を斜め読みした限りでは、大きく「損失分離スキーム」と「損失分離解消スキーム」に分けて、役員の責任を論じているようです。これらスキームの「関与者・認識者」については、当然、いずれのスキームにも責任があるわけですが、「関与者・認識者」以外の役員については、基本的に「損失分離解消スキーム」(M&A取引の買収価格やアドバイザリー報酬水増しによるもの)の一部についてのみ責任を問われているようです。
解消スキーム関連の取引(取締役会の決議の対象となっている)の異常性が、会計の専門家ではない役員であってもおかしいと気づいて指摘すべきほどであったとされたのでしょう。監査人の責任にも関係するかもしれません。
オリンパスの被った損害については、違法配当・自社株取得による金額が大きいようです。当サイトで少しふれたことがある「税効果」(損失隠しをしなかった場合に得られたであろう税金の節約分)については、報告書では損害額に含めていませんが、実質的には含めて考えるべきでしょう。
オリンパス提訴、内容検討し対応決める=奈良県個人株主の弁護団(ロイター)
「個人株主は同社に対し、歴代監査役と2監査法人(あずさ監査法人と新日本監査法人)についても追加の提訴請求を行っている。これに関して同弁護士は「まだ期限がある。会社の発表を踏まえ、対応を検討したい」と話した。」
オリンパスは上場廃止基準に抵触していない?! 上場維持に突き進む東証の不思議な理屈にマスコミも同調。「粉飾でも債務超過でなければセーフ」(現代ビジネス)
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