キヤノンの工場建設をめぐる脱税事件で逮捕された会社社長が大手ゼネコン「鹿島」などにあっせんした工事の受注総額が、1千億円を超えているという記事。また、受注の「謝礼」として鹿島などから社長側に渡されたコンサルタント料と裏金などの総額が約45億円に上るそうです。
「受注あっせんの謝礼の趣旨で、鹿島はLBに約9億5千万円を、大光に約4億円を正規のコンサル料として支出。九電工も同様に約5億円を匠に支出。さらにLBなどは鹿島や九電工などの下請けに入り、工事外注費約6億円も受け取っていた。
しかし大賀社長はその後、謝礼の増額を要求。ただ、建設業などの業種では一般に受注額の3%を超えるコンサル料は、社内や国税当局から営業経費と認められないケースが多いことなどから、鹿島は裏金の提供を始めたという。この結果、鹿島から直接手渡された裏金は約5億円。下請け会社を介在させた裏金も含めると、鹿島と九電工が捻出した裏金は計約21億円に上るという。」
ゼネコン側の支出について考えてみると、正規のコンサルタント料として支出した分は、少なくとも形式的には問題ないといえるでしょう(もちろん金額的に妥当か、社内で適切に承認された支出かといった点は考慮する必要がありますが)。受け取った側が正しく申告していなくても、支払側には関係のない話です。
しかし、裏金ということになると、支出の名目と実態が異なる(あるいはまったく簿外で資金を捻出し不正に支払っている)ということですから、会計処理としても間違っており、また会社の内部統制上も不備(重要な不備かどうかはまた別の問題)があったということになります。受け取った側だけでなく、支払った側の責任もおおいにあるということです。
「不正」は急に止まれない! (日経プレミアシリーズ) 中島 茂 by G-Tools |