会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

ソニーの11年3月期は3年連続の最終赤字、震災で3600億円の引当(ロイターより)

ソニーの11年3月期は3年連続の最終赤字、震災で3600億円の引当

ソニーが、2011年3月期の連結当期純損益(米国会計基準)の見込みを2600億円の赤字に下方修正したという記事。見出しは「震災で3600億円の引当」とありますが、回収可能性を反映した繰延税金資産の取り崩しのことです。

「震災の影響で国内の収益改善が難しい状況となり、将来収益を見込んで計上していた繰延税金資産を取り崩す。米国会計基準においては3年連続の累積赤字は繰延税金資産の回収可能性を厳しく見積もる必要がある上、震災でこのマイナス要因を短期的に克服することが困難だと判断した。

記者会見した加藤優執行役最高財務責任者(CFO)は「リーマンショック以来、本業の営業利益はかなり回復してきたので、2月時点までは12年3月期はかなりの収益回復ができると見込んでいたが、震災によって今期もかなりマイナス要因が大きくなってきたので引当を計上するに至った」と説明した。」

米国会計基準の関連規定は知りませんが、たしかに細則主義です。

先日明らかとなった不正アクセス事件の影響が出るのは新年度となります。

「プレイステーションネットワーク(PSN)はじめ一連のネットワークサービスの不正アクセスが12年3月期の営業利益に影響する費用は140億円で、一部地域の補償プログラムやセキュリティ改善などの費用を見込む。ただ、加藤CFOによると、米国やカナダなどで起こされている訴訟などの費用は織り込んでいない。」

2010年度 連結業績見通し 修正のお知らせ(PDFファイル)

会社のプレスリリースでは、繰延税金資産取り崩しについて以下のように述べています。

「・・・2011年3月31日時点でソニー株式会社と日本の連結納税グループは、3年累積で損失を計上しました。米国会計原則では、3年累積での損失は繰延税金資産の回収可能性を評価するにあたり重要なマイナス要因とみなされます。特に、日本における税務上の欠損金の繰越期間が7年と比較的短いことに加え、東日本大震災が日本国内会社の短期的な業績見通しに及ぼす影響が、このマイナス要因を克服することを困難にしています。その結果、2010年度第4四半期においてソニーは、米国会計原則上、日本における繰延税金資産に対し評価性引当金の計上が必要であると判断しました。 」

3年連続赤字だからダメというのではなく、回収可能性を評価するうえで考慮すべき要因ということのようですから、判断の要素はあるのでしょう。
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