金融庁が、ICO(イニシャル・コイン・オファリング)を規制する検討に入ったという記事。
「金融庁は1日、有識者で構成する「仮想通貨交換業等に関する研究会」でICOの問題と規制に向けた論点を議論した。念頭に置くのは、投資家が配当や利子を得られる投資型トークンへの規制だ。現在も日本円などの法定通貨で購入すれば金商法の規制対象になりうるが、第三者による事業計画の確認など情報開示が不十分で規制は緩い。 投資とみなせるICOに対しては販売する業者や投資家の制限を含めた新たな規制を検討する。資金調達でなく、単にモノやサービスを買う決済手段としてトークンを使う場合は投資商品にあたらないとして、規制を区別する方針だ。」
「ICOへの規制強化は世界的な流れだ。米国では米証券取引委員会(SEC)が一部のトークンが有価証券にあたるとの見解を示し、中国や韓国ではICOを禁止した。情報サイトのコインデスクによると、ICOを使った資金調達額は2017年に約54億ドル(約6100億円)。18年は7月末までに約142億ドルと3倍近くに急増し、規制が強まるなかでも活発だ。」
発行者が配当・利子を約束しているものは、お金を出す側からすれば株式や債券、投資信託と同じような投資でしょうから、当然金商法の対象でしょう。何かを買う手段であれば、商品券やプリペイドカードと同じような規制になるのでしょう。
ただ、なんらの権利もお金を出した側に与えられない場合は、どうなのでしょう。発行者からすれば、お金を寄付してもらって、感謝の念を表すため表彰状や記念品を出すようなものでしょうか。なんらの権利も与えられないことを知らせないで寄付させていたのであれば、詐欺だといえそうですが、権利はないけれども、記念品(トークン)に価値が出るかもしれないといって、寄付を募るのは、現行の規制の対象外なのかもしれません(慈善団体が絵葉書を売るのと同じ?)。
仮想通貨による資金調達、全面禁止は見送り 金融庁 法改正で健全化へ(SankeiBiz)
「金融庁は1日、仮想通貨に関する研究会を開き、仮想通貨技術を使った資金調達(ICO)について、中国や韓国のように全面禁止するのではなく、法改正で規制を強化して健全化を目指すことでおおむね一致した。ICOをめぐっては法規制が不十分で、詐欺に使われる問題などが指摘されているが、ベンチャー企業を中心に新たな資金調達手段として活用されている実態に配慮した。」
会議の資料はこちら。
「仮想通貨交換業等に関する研究会」(第8回)議事次第(金融庁)
事務局資料によれば、ICOで付与されるトークンの性質に応じて、以下のように整理されています。
「2.ICO の類型について
○ ICOの設計に係る自由度は高く、様々なものがあると言われているが、どのように整理すべきか。金融の機能を有するもので、かつ、何らかの制度的な対応が必要なものはどのようなものか。
○ ICOにおいて発行されるトークンを仮想通貨又は法定通貨を用いて購入する購入者の視点に立った場合、購入の見返りとして何を期待しているか。例えば、①発行者からの直接的な見返りは求めないケース、②発行者からの物品・サービス等の供与を見返りとして求めるケース、③事業収益の分配などキャッシュに相当する経済的価値の受け取りを期待するケースなどが考えられるか。
・・・
○ 利用者が一定の見返りを期待し、かつ、その見返りの権利性が高いと考えられる場合、そのうち一定のものについては、金融規制の対象として制度的な対応の検討が必要と考えられるが、どうか。」
規制対象外となりそうな、購入者が「発行者からの直接的な見返りは求めないケース」が、一番詐欺に近いような気もしますが...。
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