東証1部上場の帝人が、金融取引による72億円の特別損失の発生で株価が下がっているという記事。
「帝人は150億円の社債発行に関して、元利払いを銀行に引き受けてもらう一方で、社債と同額を信託銀行に拠出して有価証券で運用していた。ただ、金融市場の混乱で価格の回復が見込みにくいと判断したことで取引を解約し、社債の償還原資を穴埋めするために72億円を拠出する。」
ソフトバンクや武富士の場合と同様の損失です。気になるのは、そもそもオフバランス処理できた取引なのかという点(これは形式的には多分クリアしているのでしょう)と、損失をいつ認識するのかという点です。
金銭の信託により保有する有価証券の処分に伴う損失について(PDFファイル)
「当社は社債の債務履行引受契約(平成17年11月29日締結)に係る偶発債務について、平成20年3月期有価証券報告書で開示(注)しておりましたが、本件に関連して信託した金銭により投資・保有していた有価証券について、現状の金融市場環境では短期間における市場価値の回復が困難であるとの判断から、この金融取引の解約を行ない、その損失額約72億円について追加拠出することを決定いたしましたのでお知らせします。従って、当該社債(当社第4回無担保普通社債:発行額150億円)は予定通り償還されます。」
報道やこのプレスリリースから判断すると、2009年3月期ではなくオフバランス・スキームに使われた信託に拠出を行う2010年3月期に損失を計上するようです。日本の会計はいつから現金主義になったのでしょうか。
この件に関しては臨時報告書が25日付で提出されていますが、報告内容は以下の記述のみです。
「2【報告内容】
(1) 当該事象の発生年月日
平成21年5月25日
(2) 当該事象の内容
第4回無担保普通社債の債務履行引受契約に関連して信託した金銭により投資・保有していた有価証券について、金融取引の解約を行い、その損失額について信託財産へ追加拠出することを決定しました。
(3) 当該事象の損益に与える影響額
平成22年3月期において、約72億円の特別損失の計上」
「金融取引」といった漠然とした記載でよいものなのでしょうか。
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