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井関農機、04年3月期以降の決算を訂正=最終利益42億円を過大計上

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井関農機が、子会社3社で、不適切な会計処理を行っていたとして、2004年3月期以降の決算を訂正するという記事。

不適切な会計処理に関する調査結果および当社の対応方針のご報告(PDFファイル)

会社の規模からして、相当大きな粉飾といえます。

プレスリリースには、2006年9月中間期末時点の粉飾額の原因別内訳が出ています。

「3 製造子会社による不適切な会計処理の実施額は、

棚卸資産(仕掛品)過大計上 :3,126 百万円
建設仮勘定過大計上 : 356 百万円
貯蔵品過大計上 : 40 百万円
買掛金過少計上 : 307 百万円
前払費用過大計上 : 19 百万円
合計 :3,850 百万円」

いずれも古典的な粉飾手法です。会計数値の操作だけであり、担当者による横領等はなかったようです。

このうち仕掛品過大計上の手口については以下のように説明されています。

「平成16 年3 月に利益不足を補うため、3 月の原価計算処理において、製品の製造原価(=売上原価)を減少させ、帳簿上の仕掛品在庫を増加させて、利益を操作しておりました。なお、これらの処理は、原価計算システムの操作により行われておりました。
通常の棚卸残高を確定する作業において、棚卸差異の原因を追究しつつ、帳簿棚卸高を修正していく過程がありますが、その過程を利用して、帳簿上の仕掛品を増加させたものです。」

このように最終的な期末在庫集計の手続の段階で不正が行われたようです。

ちなみに、内部統制実施基準では「一般に、原価計算プロセスについては、期末の在庫評価に必要な範囲を評価対象とすれば足りると考えられるので、必ずしも原価計算プロセスの全工程にわたる評価を実施する必要はないことに留意する」とされています。

また、会社の調査結果によれば、不正は子会社の社長や管理部長のレベルで行われており、親会社では関知していなかったようですが、連結決算を開示している以上、親会社の経営者も当然責任を負うことになります。
 
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