日本公認会計士協会は、監査基準委員会研究報告第6号「監査報告書に係るQ&A」を、2021年10月4日付で改正しました。
改正内容は...
「2021年5月19日に公布された「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」において、押印・書面の交付等を求める手続を廃止する48の法律の改正が含まれており、公認会計士法も改正の対象となった。公認会計士法の改正の内容は、監査報告書等(監査報告書、中間監査報告書又は四半期レビュー報告書。以下「監査報告書等」という。)への自署、押印を求めている規定を署名のみに変更し、さらに監査報告書等の交付を署名された書面に代えて、電磁的方法、すなわち電子化された監査報告書等によって行うことができるようにするというものである。この公認会計士法の改正が2021年9月1日から施行されることを踏まえ、本改正の概要や監査報告書等を電子形式により作成する場合の具体的な留意事項を解説することを目的として、2021年10月4日付けの本研究報告の改正において《3. 監査報告書の電子化に関するQ&A》を追加している。」(2項)
追加された「監査報告書の電子化に関するQ&A」の項目は以下のとおりです。
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監査報告書を電子化する例がどのくらいあるのかわかりませんが、実施する場合には、このQ&Aを参考にするのが手っ取り早いでしょう。
公開草案へのコメントで面白いものがありました。
「海外の監査報告書では、署名した会計士の記名と登録番号を付記する事例が多い。
海外では、サインは他人が容易に真似できないような運筆で行うのが慣例であるため、もし記名がなかったならば、サインの筆跡だけでは会計士の氏名を読み取るのは困難なことが多いためである。
我が国でも同様の取扱いとなるように改正していただきたい。」
(協会の回答は「頂いたご意見は、今後の参考とさせていただきます。」)
外国にルーツのある会計士が、母国語の崩し字で署名するケースもあり得るでしょう。また、日本語でも楷書で署名しなければならないというルールはありません(さらには楷書でも正しく読み取れるとは限らない)。そうだとすれば、署名だけでなく、記名も必要でしょう。また、同姓同名があり得ることや、結婚などにより氏名が変わる例があることを考慮すれば、登録番号を記載するのは有用でしょう。また、番号があれば、データ化にも便利です。ついでにいえば、監査法人名についても、変更される場合があるので、法人番号を併記するようにするのが合理的でしょう。