米、大企業の財務会計上利益に最低税率15% 35兆円相当(記事冒頭のみ)
米財務省が、最低、会計上の利益の15%を課税する新税制の枠組みの案を公表したという記事。対象は利益が相当大きい大企業に限られます。
「米財務省は12日、大企業の財務会計上の利益に15%の最低法人税率を課す枠組みを公表した。IT(情報技術)大手など収益性の高い100社程度を対象に、2025年からの10年間で2500億ドル(約35兆円)を徴収する。バイデン政権の肝煎り政策で、大企業の租税回避に網をかけて格差是正につなげる狙いがある。」
9月12日に、米財務省が規則制定案告示として公表したそうです。
対象企業や仕組みは...
「財務諸表上の利益が調整後で年平均10億ドルを上回る企業が対象となる。利益の15%を最低税率とし、実際の納税額がその金額を下回らないよう課税額を調整する。」
記事によれば、2025年の徴収額は200億ドル程度になるそうです。
現状は...
「米財務省によると今回対象になると想定される企業のうち6割は実効税率が1%未満で、そのうち25%は0%だった。」
ビッグ4事務所などが高い報酬をもらって、租税回避に暗躍しているのでしょう。
日本企業は海外企業ほどアグレッシブな租税回避は行っていないといわれているようですが、こういう税制は必要ないのでしょうか。
個人的に気になっているのは、海外投資が非常に優遇されていることです。つまり、投資がうまくいって、海外子会社などから配当がある場合には、その配当にはほとんど税金がかからないのに対し、海外投資で失敗した場合には、しっかり損金になって、日本で支払うべき税金が減らされるという制度になっています。これは、優遇しすぎのような気がします(日本国内よりも海外で投資するインセンティブになっている)。
米財務省、大企業向け最低法人税率の導入に関する規則案を発表(ジェトロ)
(IRA:インフレ削減法)
「IRAには、気候変動対策をはじめとする歳出増加項目とともに、薬価引き下げに伴うメディケアへの財政負担軽減(2024年8月16日記事参照)や自社株買いに対する課税強化などの財政赤字削減策も複数含まれている。今回規則案が発表された最低法人税率の導入も、2021年のOECD/G20合意(2021年10月14日記事参照)を踏まえつつ、財政赤字削減策の一環として盛り込まれていた。
財務省によると、規則案の対象となるのは、年間平均で10億ドルを超える利益を上げている企業で、約100社が対象になる見込みという。これらの企業に課税することにより10年間(2025~2034年)で2,500億ドルの歳入増を見込む。これらの企業は、株主に対して記録的な利益を報告し、自社の株価上昇につなげている一方、税額控除などを利用して連邦法人税の算定に利用される利益を圧縮することで、実効税率を平均2.6%程度(注1)に縮減しているとのことだ。こうした税逃れともいえる状況は、会計士などを雇用する余力のない中小企業にとって不公平な競争環境となっているとして、最低法人税率を導入することにより、競争環境の改善を狙う。」