特別調査委員会による調査進捗状況に関するお知らせ(PDFファイル)
日糧製パン(札証)のプレスリリース(2023年6月22日)。
同社は、5月に不適切決算処理の疑いに関する開示を行っていますが、その際、詳しい内容は示されていませんでした。
今回の開示では、特別調査委員会による調査進捗状況を明らかにしています。現時点で明らかになっている影響額も示しています。
調査の端緒は、内部通報でした。
「特別調査委員会設置の端緒は、2023 年5月8日、日糧製パン代表取締役社長に対して、社内関係者とみられる匿名人物から「製菓工場の棚卸金額が物凄い金額粉飾されている。」などと記載された電子メールによる通報がなされたことにあります。そこには不適切な会計処理がされていることが疑われる内容が示されておりました。
かかる通報を受け、当社においては、対応を協議、関係者へのヒアリング等、社内調査を行い不適切な処理が行われた可能性の認識を深めました。そのような状況を踏まえ、監査法人とも相談のうえ、5月 18 日に特別調査委員会を設置し、過年度を含め、不正行為の有無や内容等の事実関係の調査を委託して、その全容解明を図ることとしました。 」
現時点までの調査結果。
「 現時点までの特別調査委員会における調査検討の結果、当社において、次の不正行為がなされていたことが確認されました。
当社においては、倉庫のほかに、各部門において一定数量の原材料等を管理保管しており、これを倉庫在庫と区別して、「現場在庫」と呼称しております。特別調査委員会による調査によれば、少なくとも一部の部門において、特定の部門長の指示のもとで、自部門の業績を良く見せるため、この現場在庫の棚卸数値を過大計上するとの不正行為がなされておりました。当該部門においては、最低でも過去2年間にわたって不正行為がなされており、2023 年3月末時点で過大計上と見込まれる金額は最大で約 6000 万円に及ぶことが想定されます。
現場在庫の実地棚卸については、各現場の課長を中心として、月中、月末に2度実施するものとしておりました。実地棚卸の結果は、各現場において、所定の書式に手書きで記入して、経理部等に提出し、月次決算、年次決算に用いられておりました。
また、製品の製造工程において原材料のロスが一定数量生じてしまうところ、これは利益率(製造利益)を下げる要因となります。当社では、製造利益の向上を図るため、生産管理部と実地棚卸の結果を共有し、各現場別に原材料のロス発生状況を簡便に把握するための生産管理指標を用いて管理することとしておりました。
そうしたところ、当該部門においては、特定の部門長の指示のもとで、実地棚卸すらせず、生産管理指標の目標数値から逆算する形で棚卸数値を任意に決定し、現場在庫の棚卸数値を過大に報告・計上していたものです。」
現場の暴走ということでしょうか。同じ会社の中でも、管理部門と工場の現場との間に、深い溝があったのかもしれません。
また、管理部門や監査人は、この現場在庫の棚卸への立会は行わなかったのでしょうか。(倉庫在庫と比べて重要性がなく、省略?)