会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

事業承継、税優遇要件を緩和 政府 後継者の役員就任期限、来年以降に延長案(日経より)

事業承継、税優遇要件を緩和 政府 後継者の役員就任期限、来年以降に延長案(記事冒頭のみ)

政府の「新しい資本主義実現会議」の実行計画改定版の原案が明らかになったという記事。

「政府の「新しい資本主義実現会議」(議長・岸田文雄首相)が近くとりまとめる実行計画改定版の原案が5日、明らかになった。中小企業などの事業承継を後押しする税制優遇の特例措置について、現行は2024年末となっている後継者の役員就任期限を25年以降に延長する。」

税制関連では、そのほかに、海外投資家の株式譲渡益への課税見直し(「香港やシンガポールでは一律で無課税とされ海外マネーを呼び込んでおり、見直しを図る」)の検討が盛り込まれるそうです。(香港・シンガポールをまねしてどうするのか)

開示関連では、「賃金格差の情報開示義務を従業員301人以上の企業から101人以上の企業にも拡大することを検討する」。

6月7日の会議資料が公開されており、その中で 「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024年改訂版案」というのが示されています。

新しい資本主義実現会議(第28回)(内閣官房)

冒頭の現状認識のところでは...

「私たちは、昨年を大きく上回る春季労使交渉での賃上げ、史上最高水準の設備投資、史上最高値圏の株価といった成果を手にしている。しかしながら、我が国のデフレ脱却への道は、いまだ道半ばである。」

まだ「デフレ脱却」とかいっています。

日経記事で取り上げている事業承継税制については、以下のように書かれています。

「①事業承継税制の役員就任要件の検討

事業承継税制については、現行では、その利用のために、役員就任要件(実際の承継時に、後継者が役員に就任して3年以上経過している必要があるという要件)を満たす必要があり、特例措置を利用する場合、本年 12 月末(実際の税制上の承継期限である 2027年 12 月末の3年前)までに後継者が役員に就任している必要がある。来年以降に事業承継の検討を本格化させる事業者にとって、本年 12 月までに後継者を役員に就任させることは困難であり、事業承継税制を最大限活用する観点から、役員就任要件の在り方を検討する。

さらに、事業承継税制について、事業承継・引継ぎ支援センターや商工団体、税理士会とも連携しつつ、制度の周知徹底に取り組むことにより、最大限の活用に取り組む。

親族外・社外の第三者への事業承継を促進するため、マッチングプラットフォームに対し掲載する情報の質の向上等を促すとともに、事業承継円滑化や経営人材確保の観点からサーチファンドの育成に積極的に取り組む。また、有能な人材(経営者)を広く登用し、事業承継を更に促進する観点から、第三者への事業承継を促進する税制の在り方についても検討を深める。」(2024年改訂版案 22ページ)

コーポレートガバナンス、開示関連では...

「(3)コーポレートガバナンス改革、金融・資本市場の機能向上

我が国企業の魅力を高めていく観点から、昨年3月、東京証券取引所から上場会社に対し、市場評価や資本コストを意識した経営の実現に向けて計画策定・開示等を行うことを要請し、本年1月からは取組を行う企業の一覧表を公表している。また、来年4月からはプライム市場上場会社に対し、重要情報の英文開示を義務化する。コーポレートガバナンス改革について、指名委員会等設置会社制度の運用実態の検証と改善検討を含め、継続して進める。

具体的には、昨年4月に策定した「コーポレートガバナンス改革の実質化に向けたアクション・プログラム」を本年6月にアップデートしたところであり、企業と投資家に対し、その着実な実践を促す。

その一環として、企業と投資家の建設的な対話の促進に向け、より多くの企業において有価証券報告書の開示が株主総会前のタイミングになるよう、環境整備について検討を進める。また、協働エンゲージメントの促進や実質株主の透明性確保に向け、スチュワードシップ・コードの見直しを検討する。

また、金融・資本市場の機能の向上を図る観点から、東京証券取引所等における以下の取組等をフォローする。
ⅰ)東京証券取引所グロース市場の上場会社による投資家への情報発信に対する支援・促進等の取組や、スタートアップ・エコシステムに対する影響等を勘案したグロース市場の中長期的な機能強化に向けた上場維持基準等に関する検討
ⅱ)投資単位が高い上場会社に対する株式分割の促進やより少額で投資できる方策に関する検討
ⅲ) TOPIXの機能性の更なる向上等に関する検討」(50~51ページ)

当サイトの関連記事(コーポレートガバナンス改革の実践に向けたアクション・プログラム2024の公表))

グランドデザインの全体は以下のとおり(目次より)。

岸田首相の「お言葉」が載っています。

総理の一日 新しい資本主義実現会議

「第3に、企業の参入・退出の円滑化です。

スタートアップ育成5か年計画の強化とともに、中小・小規模企業の事業承継やM&A(買収と合併)・グループ化を進めるため、仲介事業者の手数料の開示や、M&Aの際に経営者保証を見直す枠組みを導入します。あわせて、事業承継税制の要件緩和の検討を図ります。

第4に、コンテンツ産業活性化戦略を定めました。

政府の司令塔として、コンテンツ産業官民協議会と映画戦略企画委員会を設置するとともに、一貫的で強力な支援のため、文科省・経産省の施策をクリエイター支援基金に統合します。

加えて、海外展開を図るとともに、クリエイターやアーティストを対象に、労働慣行や取引慣行是正を図るため、音楽、放送番組、映画、アニメの分野の実態調査を行い、独禁法上の指針の策定を行います。」

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