会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

「強制適用の判断見送り、我が国に適したIFRS策定」、金融庁が報告書(ITproより)

「強制適用の判断見送り、我が国に適したIFRS策定」、金融庁が報告書

6月19日に開催された企業会計審議会の総会・企画調整部会合同会議で、「国際会計基準(IFRS)への対応のあり方に関する当面の方針」という報告書の案が提示されたという記事。

記事では案の内容や審議の模様などを紹介しています。

強制適用について

「全ての上場企業の会計処理にIFRSの採用を求める「強制適用」については、「未だその判断をすべき状況にないものと考えられる」と記述。「今後、任意適用企業数の推移も含め今回の措置の達成状況を検証・確認する一方で米国の動向およびIFRSの基準開発の状況等の国際的な情勢を見極めながら、関係者による議論を行っていくことが適切である」とした。」

IFRS任意適用要件の緩和について

「IFRS採用企業の増加を目指して「IFRSによる連結財務諸表の適正性を確保する取り組み・体制整備をしている」ことのみを条件とするとした。」

IFRSの適用方法について(日本版IFRS)

「「あるべきIFRS」や「我が国に適したIFRS」といった観点から「個別基準を一つ一つ検討し、必要があれば一部基準を削除または修正して採択するエンドースメントの仕組みを設ける」ことを提案した。」

「エンドースメントの検討主体としてASBJ(企業会計基準委員会)を指定。ASBJが「実務上の困難さ(作成コストが便益に見合わないなど)」「周辺制度との関連(各種業規制などに関連して適用が困難または多大なコストを要することがないか)」といった点を踏まえて、「速やかにエンドースメントの検討が行われることを期待する」とした。」

「エンドースメントしたIFRSは過去の審議会で「日本版IFRS(J-IFRS)」とも呼ばれていたもので、委員の賛成・反対が分かれていた。今回の報告書案では金融庁が日本版IFRSの採用を押し切った格好となった。」

「また報告書案では「エンドースメントされたIFRSは、強制適用を前提としたものではなく、あくまでも任意適用企業を対象としたものとして位置づけるべきである」と記述。」

単体開示の簡素化について

「金融商品取引法が定めている単体財務諸表の開示の簡素化を提示。単体財務諸表について、会社法が求めている計算書類と、金融商品取引法が定めている財務諸表の開示水準が大きく異ならない項目について会社法の要求水準に統一する方針を示した。ただし単体のみ開示している企業については、「基本的に見直しを行うべきではない」としている。」

報道の見出しをみてみると、強制適用の判断先送りを先に書いているものと、日本版IFRSを強調しているものがあるようです。日経は、金融庁の意図どおり(?)後者の方です。

国際会計基準に「日本版」導入決定 導入加速へ金融庁(日経)

日経によれば、日本版IFRSは「早ければ2015年3月期にも企業が使えるようにする」そうです。

日本独自の会計基準を策定へ(NHK)

「金融庁は、「国際会計基準」に近い日本独自の会計基準を来年中にも新たに作ることになりました。」

一応今でも「日本独自の会計基準」は存在し、それは公式には「「国際会計基準」に近い」とされているのですが・・・。
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