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三菱重と日立、南ア火力関連で主張対立 3800億円の攻防(ロイターより)

三菱重と日立、南ア火力関連で主張対立 3800億円の攻防

三菱重工業と日立製作所が、南アフリカでのプロジェクトの損失負担をめぐってもめているという記事。

三菱重工側が、日立に対して少なくとも3790億円相当の請求権が発生していると発表したそうです。日立側の損失処理については記事では不明ですが、日経によると1000億円程度しか引当てしていないそうです。

「三菱重と日立は2014年2月に火力発電プラント事業を統合三菱重65%、日立35%出資の「三菱日立パワーシステムズ(MHPS)」を発足させた。MHPSは三菱重の連結子会社だ。

南アでのプロジェクトは、日立が07年11月と08年3月に石炭火力発電プラント用ボイラー設備計12基を約5700億円で受注したもの。

三菱重の説明によると、日立の火力事業の統合に際し同プロジェクトに関する契約上の権利・義務関係を三菱重の連結子会社「MHPSアフリカ社」が引き継いだ。三菱重と日立は、同プロジェクトにおける収支見積りなどの評価をめぐって見解が対立している。

三菱重は日立に対し同プロジェクトに関連して約3790億円をMHPSアフリカ社に支払うよう請求し、この金額の一部を流動資産に計上。一方、日立は請求には応じられないことを4月6日に三菱重に回答したという。」

平成27年度 決算概要(三菱重工)

「当社及び株式会社日立製作所(以下「日立」という。)は、平成 26 年2月1日(以下「分割効力発生日」という。)に両社の火力発電システムを主体とする事業を、当社の連結子会社である三菱日立パワーシステムズ株式会社(以下「MHPS」という。)に分社型吸収分割により承継させ、事業統合を行いました。

上記事業統合の一環として、南アフリカ共和国における日立の連結子会社である Hitachi Power Africa Proprietary Limited(以下「HPA」という。)等が 2007 年に受注した Medupi 及び Kusile 両火力発電所向けボイラ建設プロジェクト(以下「南ア PJ」という。)に関する資産・負債並びに顧客等との契約上の地位及びこれに基づく権利・義務を、HPA から当社の連結子会社である Mitsubishi Hitachi Power Systems Africa Proprietary Limited(以下「MHPS アフリカ」という。)が譲渡を受けました(以下「南ア資産譲渡」という)。

南ア資産譲渡に係る契約においては、分割効力発生日より前の事象に起因する偶発債務及び同日時点において既に発生済みの請求権につき日立及び HPA が責任を持ち、分割効力発生日以降の事業遂行につき MHPS 及び MHPS アフリカが責任を持つことを前提に、分割効力発生日時点に遡ったプロジェクト工程と収支見積の精緻化を行い、それに基づき最終譲渡価格を決定し、暫定価格との差額を調整する旨が合意されております。

平成 28 年3月期の決算日時点において、日立との間で南ア資産譲渡の譲渡価格に関する調整は完了しておりませんが、南ア PJ は分割効力発生日時点において既に損失が見込まれたプロジェクトであり、MHPS アフリカは、契約に基づき算定される譲渡価格調整金等を日立または HPA から受領する権利を有しております。平成 28 年3月 31 日、当社は、日立に対して、当該譲渡価格調整金等の一部として 48,200 百万南アフリカランド(1ランド=7.87 円換算で約 3,790 億円)を MHPS アフリカに支払うように請求し、また日立向けの当該請求権の一部を流動資産の「その他」に計上しております。」(三菱重工決算短信より)

大きな赤字が出る工事だとすれば、日立製作所の方で、統合以前の会計期間において適切に会計処理や開示がなされていたのかどうか、統合後の偶発債務の開示はどうだったのか、三菱重工側では、まだもめているのに請求権を一部とはいえ資産計上できるのか、統合時の会計処理はどうだったのかなど、いろいろ論点はありそうです。

ちなみに、両社とも監査人は新日本です。
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