金融庁は、株式会社エスコンアセットマネジメントに対する行政処分を行いました(2022年7月15日付)。
処分内容は、業務停止命令と業得改善命令です。前者の内容は「新たな資産運用委託契約の締結禁止及び不動産(不動産信託受益権を含む)の取得に係る運用指図禁止(令和4年7月15日から令和4年10月14日までの間)」です。
証券取引等監視委員会の勧告の事実関係。
「当社は、エスコンジャパンリート投資法人(東京都港区、法人番号6010005025721。以下「本投資法人」という。)との間で締結した資産の運用に係る委託契約に基づき行っている本投資法人の資産の運用において、当社の親会社である株式会社日本エスコン(東京都港区、法人番号8010001067609。以下「親会社」という。)からの取得となる不動産の鑑定評価を依頼するに際し、以下のとおり、適切な利益相反管理の観点から問題となる、不動産鑑定業者の独立性を損なう不適切な働きかけを行い、また、不適切な不動産鑑定業者選定プロセスをとっていた。
(1)不動産鑑定業者の独立性を損なう不適切な働きかけ
当社は、親会社等の利害関係者が保有する不動産を本投資法人に取得させる際には、第三者である不動産鑑定業者に対して、取得させようとする不動産の鑑定評価を依頼し、算定された鑑定評価額を上限として当該不動産の取得価格を決定している。しかしながら、当社は、不動産鑑定業者から提示された鑑定評価額に係る中間報告又は概算額が親会社の売却希望価格に満たなかった3物件の不動産について、親会社の売却希望価格を優先し、親会社の売却希望価格を伝達するなどしたうえで、鑑定評価額が当該売却希望価格を上回るものとなるよう、算定を依頼した不動産鑑定業者に対し、鑑定評価額を引き上げるための働きかけを行っていた。こうした行為は、不動産鑑定業者の独立性を損なう不適切な働きかけであると認められる。
(2)不適切な不動産鑑定業者選定プロセス
当社は、親会社からの取得となる複数物件の不動産鑑定評価を依頼する際、親会社の売却希望価格を上回る鑑定評価額を得ることを企図して、複数の不動産鑑定業者から不動産鑑定評価に係る概算額を聴取し、そのうち最も高い概算額を提示した不動産鑑定業者(以下「当該不動産鑑定業者」という。)の鑑定報酬額が、概算額を聴取した他の不動産鑑定業者と比して最も廉価になるよう、当該不動産鑑定業者と交渉していた。さらに、当社は、当該不動産鑑定業者による概算額が最も高かったことを伏せたうえで、当該不動産鑑定業者の鑑定報酬額が最も廉価であることを理由に、当該不動産鑑定業者を鑑定評価の依頼先として選定していた。これは、親会社の売却希望価格で本投資法人に取得させることを最優先とした不適切な不動産鑑定業者選定プロセスであると認められる。
このように、当社の利益相反管理態勢は著しく不十分であり、当社は本投資法人のために忠実に投資運用業を行っていないことから、金融商品取引法第42条第1項に定める「忠実義務」に違反するものと認められる。 」
投資家のためにできるだけ安く物件を購入することよりも、親会社を儲けさせるという動機の方が強かったのでしょう。
株式会社エスコンアセットマネジメントに対する行政処分について(日本エスコン)
中部電力系に業務停止命令
金融庁、不動産投資信託運用(共同)
「親会社の日本エスコンの不動産をREITに高値で買わせるために、鑑定会社に高い価格を示すように働きかけたとしている。」
「日本エスコンは中部電の連結子会社。」
最近の「金融庁」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事