会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

バイオベンチャー「テラ」の株価が暴落しているワケ(FRIDAYより)

バイオベンチャー「テラ」の株価が暴落しているワケ
メキシコで開発した新型コロナ治療薬「プロメテウス」は本物だったのか


東証ジャスダック上場のテラに関する記事。

同社がメキシコで開発中とされる新型コロナ治療薬の治験は本当にうまくいっているのかと疑問を述べています。

メキシコで治験の責任者だった医師が新型コロナで亡くなったのだそうです。

「12月21日、メキシコで一人の医師の訃報が伝えられた。かつてトラスカラ州アピサコ市で市長も務めたアレックス・オルティス医師が亡くなったのだ。その1週間前に新型コロナ感染症を発症し、治療の甲斐なく、多臓器不全を起こして急逝したという。」

「5月下旬にはメキシコのトラスカラ総合病院で、冒頭のオルティス医師を責任者として新薬の治験を実施中とも公表。その結果、テラ社の株価はストップ高が続き、2020年春には1株100円程度だったものが、6月9日には2175円にまで急騰した。実に20倍である。

しかし、FRIDAY6月26日号掲載の「東大医科研発の創薬ベンチャー 新型コロナ治療薬開発は本当か?」という記事で、私がトラスカラ総合病院に取材したところ、同病院の事務員が「アレックス・オルティスという医師はうちの医療部門には存在しません。日本の会社による(新型コロナ感染症の)治験や診療法の話も聞いていません」と回答。」

「それでもテラ社とセネ社は「メキシコで新薬の開発が進んでいる」と強弁してきた。7月下旬にはイダルゴ州知事オマル・ファヤド氏が、テラ社とセネ社の新型コロナウィルス重症患者用治療薬『プロメテウス』による幹細胞治療で、重症患者30名中26名が回復したと話す動画をホームページで公表。すると、再び株価が上昇、1438円まで回復した。

しかし、イダルゴ州知事の演説を検証すると、「ファセ・ドス」(フェーズ2)が完了したと2本の指を立てて強調しているにもかかわらず、日本語字幕を見るとまるで治験が最終段階であるフェーズ3まですべて完了し、明日にも販売できるかのように誤解させるものだった。」

「テラ社とセネ社によれば、共同開発された新薬プロメテウスは、30名の重症患者のうち、26名が回復する画期的なものだった。しかし、オルティス医師は自らも幹細胞治療を受けたにもかかわらず、不幸にも新型コロナで命を落とした。

12月22日時点で、テラ社やセネ社、国際新型コロナウィルス細胞治療研究会から「治験責任者」だったはずのオルティス医師への追悼の言葉はない。肝心のオルティス医師をプロメテウスで救えなかったテラ社の行く末は混沌としている。」

本当に日本の企業が新型コロナの画期的治療薬の開発に成功しつつあるのであれば、マスコミなどでもっと広く取り上げられてもよさそうなものですが...。

この記事でもふれているとおり、12月に入って、同社に対し東証が改善報告書の徴求を行っていますが、新型コロナ治療薬の疑惑とは別の件のようです。

改善報告書の徴求及び公表措置:テラ(株)(東証)
改善報告書の再徴求:テラ(株)(東証)

テラ、東証の改善報告書の再徴求に対応へ 期限1月7日(IG証券)

「東証によると、テラが9月3日に特別利益および特別損失の計上等について開示し、同月4日に固定資産の譲渡について開示した件について、投資者の投資判断に一定の影響を与える情報が数カ月にわたって開示遅延されていたものであり、同社の適時開示を適切に行うための体制について改善の必要性が高いと認められることで改善報告書の提出を求めた。

テラが提出した報告書の内容が明らかに不十分であると認められる事項として、本件適時開示違反以前の2019年に生じさせた6回の開示遅延について、日本取引所自主規制法人に対して回答した改善策を十分に実施・維持できなかった詳細な経緯と理由、本件適時開示違反の発生経緯と理由、ならびに前述の改善策が十分に実施・維持されず、本件適時開示違反が生じた根本的な原因の分析などを挙げた。」

当サイトの関連記事(2020年9月)(報道に対するテラのプレスリリースについて)
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