2016年に不適切な会計を開示した上場企業は過去最多になったという記事。東京商工リサーチによる調査を紹介しています。
「東京商工リサーチは3月15日、2016年に不適切な会計を開示した上場企業は57社・58件に上り、08年の調査開始以来、過去最多を更新したと発表した。うち東証1部上場の大企業が27社・28件と約半数を占め、同社は「過度なノルマ設定や業績至上主義などが原因」と指摘している。」
「不適切会計数が増加していることについて、東京商工リサーチは「監査基準の強化と不適切会計はいたちごっこの関係。悪循環を断ち切るには、現場と経営側とのコミュニケーション強化が急務だ。風通しの良いコミュニケーション環境が整わない限り、不適切会計は繰り返される」と警告している。」
監査が厳しくなったから、不適切と認識される案件が多くなったともいえるのでは。けっして、昔がよかったというわけではないと思われます。
2016年全上場企業「不適切な会計・経理の開示企業」調査(東京商工リサーチ)
「時価会計や連結会計などに厳格な会計手続きの知識が求められ、現場で処理についていけず会計処理手続きの認識の誤りも生じている。企業の人手不足が広がるなかで現場の負担は高まり、不適切会計を増加させる側面になっている可能性も危惧される。」
これは当たっているかもしれません。
また、子会社・関係会社での発生も多いようです。上場企業そのものに匹敵するぐらいの割合です。
「発生当事者別でみると、開示当事者の「会社」が27社(構成比47.4%)、27件(同46.6%)で最も多かった。内容では、開示当事者が会計処理手続きの誤りや事業部門で売上の前倒し計上、売上原価の先送りをしたケースなどがあった。
「子会社・関係会社」は、24社(構成比42.1%)、25件(同43.1%)。「会社」と「子会社・関係会社」を合わせると51社(52件)で、社数全体の89.5%、件数では89.7%を占めた。」
「経済のグローバル化で事業規模が拡大し、海外子会社を通じた取引での不適切会計も増えている。」
海外子会社ということでは...
人ごとではない東芝の断末魔(SankeiBiz)
「日本企業による海外企業の大型買収が相次いでいるが、きちんと融合した企業グループを形成して、一体のグローバル企業として経営できているところはごく一部だ。ほとんどのケースでは、傘下に置いているものの、WH型の「独立王国」であることを許している。」
「1980年代後半、バブルの勢いにのって日本の老舗企業が欧米の大企業を次々に買収した。結果はどうなったか。その後のバブル崩壊もあり、「死屍累々」で撤退したものも多い。結局、グローバル企業をコントロールする経営力が圧倒的に欠如していたのだ。結局、日本企業は高い授業料を払ったその頃の経験をほとんど学んでいない、ということではないか。」
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