英政府が、英財務報告評議会(FRC)を、法的な監督権限をより強くした新組織に刷新するという記事。
「政府の委嘱で改革案を検討してきたジョン・キングマン卿が18年12月にまとめた提言を受け入れた。
具体的には、FRCを「監査・財務報告・企業統治監督機構(ARGA)」という新組織につくり替える。大手監査法人を直接監督する法的な権限を与えるほか、不正行為があった上場企業に、より強い制裁や報告を命じられるよう権限を強くする方向だ。」
記事でいっている昨年12月の報告書については、日本の会計士協会の機関誌「会計・監査ジャーナル」3月号に解説が出ています(「<速報>英国の監査規制等をめぐる最近の動き」)。
その記事から主な提案事項の項目を挙げると...
・機関の法的根拠及び新組織の目標(「より強力な法的権限を有し...」)
・政府及び国会による監視(「毎年、国会に報告書を提出」)
・監査市場の競争を確保する責務(「監査業界の競争と監査品質の確保は両立可能」)
・監査業界の競争に関する監視(「市場をモニタリングする法的任務」)
・役員会の役割
・役員会の規模及び構成(「役員は...公的に任命」)
・役員会の調査・執行(enforcement)に関する判断への関与(「調査及び執行について...強力な責任及び監督権限」)
・監査に対する規制(「自主規制団体による監督モデルは機能していない」)
・PIEの定義見直し
・監査品質(「エンゲージメントレベルの監査に関する調査報告書を、監査の質に関する格付け情報もつけて公開」)
・企業の情報開示(「レビュー対象をアニュアルレポートの一部から全部に拡大」「会社の開示情報に関する調査結果を一般に公開」「簡潔で包括的な財務諸表及びアニュアルレポートを作成するよう企業に促す」)
・投資家情報に関する監督拡大(「開示義務のない情報の質に関する規制を強化する必要性について検討」)
・企業役員に対する執行(「責任を有すべき取締役(会計士協会のような専門団体に属していない取締役)にも適用」)
・会計士協会の監督
・監査人の所見の監査報告書での開示(「監査人の所見を白か黒かや会計基準に沿っているかいないかではなく、段階的に記載することが有用ではないか」)
・受託責任
ということで、監査や監査事務所だけでなく、企業の開示全般に対して監督を強めるような見直しのようです。くわしくは、このジャーナルの記事を参照してください。
Government backs Kingman call to replace FRC(economia)
Until the new regulator is in place the government is going to begin working with the FRC to implement 48 of the 83 recommendations to address the shortcomings identified in the review, “such as lack of transparency and to reinforce work to enhance enforcement activity”.
報告書の83件の提案のうち48件を採用するようです。
(補足)
当サイトにいただいたコメントによると、ジャーナルの4月号・5月号でより詳しく解説されているそうです。興味がある方はどうぞ。日経に広告が出ていたので、4月号はそろそろ送られてくる頃でしょう。
また、キングマン報告書については、その一部だけが取り入れられた(その他は不採用)というわけではなく、残りのものも(全部かどうかはわかりませんが)立法措置を経て適用されるようです。この点も5月号に詳しく書かれているそうです。
コメント一覧
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kaikeinews
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関川 正
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