ビッグモーターに対する国土交通省の調査が始まったという記事。しかし、不正を立証するのはなかなか難しそうです。
「中古車販売大手ビッグモーター(東京・港)に対する国土交通省の調査が始まった。道路運送車両法が認めていない、不当な「依頼のない整備」は行われていたのか。違反の疑いがあると判断すれば、立ち入り検査に踏み切る方針だ。組織的に不正を働いていたかどうかも解明の焦点で、各工場の大規模調査に発展する可能性もある。」
「道路運送車両法の施行規則は「依頼されない点検や整備を不当に行い、その料金を請求しないこと」と整備事業者について定めている。」
「同省関係者は「車両の修理自体はなされており、書面記録からどの整備が不要だったのかを見抜くのは難しいのでは。当時を知る従業員の証言をどこまで聞けるかがカギになるだろう」と話す。」
これが売上の監査だとすると、修理というサービスの提供自体は実際に行われており、そのサービス提供の通り、書類に記録されていたとすれば、その範囲では事実と記録が一致しているわけであり、いくら試査の範囲を拡げて、書類やその元資料をひたすら調べても、あまり意味がないのかもしれません。ゴルフボールで傷をつけるという前工程の存在に気がつけるかポイントなのでしょうが、それは無理でしょう。監査の限界なのかもしれません。
今回は、不正疑惑が明らかになったわけですが、1件1件の修理売上を不正のない正当なものと不正のあったものとに分けて、売上を修正する(そしてそれを監査する)というのは膨大な作業となり、現実的ではなさそうです。顧客からの返金・損害賠償請求に備えて、引当金を計上するぐらいでお茶を濁すことになるのでしょう。
もっとも、ビッグモーターの資本金は4億50百万円であり、会計監査人はいないでしょうから、細かい会計処理を気にする必要はないのでしょう。(それより、会社の存続自体が問題?)
ビッグモーター不正、組織性の有無解明へ 立ち入り視野https://t.co/98dkka7MtB
— 日本経済新聞 電子版(日経電子版) (@nikkei) July 26, 2023