会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

東芝、監査協議大詰め=「不適正」回避へ全力-決算報告期限まで1週間(時事より)

東芝、監査協議大詰め=「不適正」回避へ全力-決算報告期限まで1週間

東芝の2017年3月期の監査の状況を取り上げた記事。先日のNHKとほぼ同じ内容です。

「複数の関係筋によると、17年3月期報告書については、法定の6月末の提出期限を8月10日に延ばしていることから再延長は申請せず、結論を出す方向だ。東芝は適正意見を求める姿勢を崩していないが、「監査は『限定付き適正』か『不適正』かの攻防になっている」(関係者)という。」

「東芝は16年12月に米原発子会社ウェスチングハウス(WH)で巨額損失が生じると公表し、損失を処理した。PwCは、巨額損失を招いた米原発建設会社をWHが買収した15年12月の時点で、経営陣は損失を認識していたはずだと主張。「会計処理に誤りがある」として、東芝と当時担当だった新日本監査法人に、16年3月期にさかのぼって損失を計上するよう求めている。」

「限定付」か「不適正」ということだと、決算数値自体は直さないということになるのでしょう。ということは、東芝は過年度の訂正報告書を出さないし、新日本も過年度の監査をやり直して、巨額虚偽記載見逃しを自白するような新たな監査報告書を出すこともないということになります。

つまり「限定付」までもっていければ、すべて丸くおさまるという話ですが、数千億円規模の虚偽記載が「限定付」でいいのかというのは、疑問に感じます。

また、「限定付」であっても、巨額の虚偽記載疑惑が監査人から提示される結果となるわけですから、当然、当局が本気で調査する必要があります。それとも、いろいろな「忖度」の結果、調査しない(あるいはおざなりな調査しかしない)ということになるのでしょうか。

新年度の監査は...

「一方、17年4~6月期決算の監査意見は「適正」となる可能性がある。WHが今年3月に米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)を申請して破綻し、連結子会社から外れたことで4月以降は大きな問題が生じないと判断されるためだ。」

新年度の四半期については、比較情報である前期の数値が「不表明」なのに、(無限定?)「適正」がつけられるのかどうかという問題がありそうです。もちろん、それ以前に、監査契約を継続できるのかどうかというハードルがあります。普通の会社なら、これだけもめれば、監査人側から契約打ち切りを通告するはずです。

こちらは先日紹介した週刊新潮の記事の後編です。

「東芝」vs.「監査法人」泥沼闘争を実況中継(下)(デイリー新潮)

めずらしく監査法人側のコメントが出ています(ほとんどノーコメントですが)。

「そこで、当のPwCあらた代表執行役の木村浩一郎氏に聞くと、

「守秘義務があるので個別の話は出来ませんが、事態の重大さは認識しているつもりです。アメリカのPwC本社に指示されてやっているわけではありません」」

おなじみの八田教授のコメントもあります。

記事自体は、東芝がいくら調査してもあらたが認めないというもので、5月頃に報じられた内容の蒸し返しのように感じられます。
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