オリンパスが過去5年分の訂正報告書を提出したという記事。
監査意見は2つの監査法人で異なっているようです。
「監査法人のチェックを受けたことを示す「監査報告書」も提出し、現在の監査人である新日本監査法人は10年3月期以降の報告書に、決算が正しいことを示す「適正」の意見をつけた。一方、あずさ監査法人が担当していた07年3月期~09年3月期は確認作業が進んでいない点も多く、「限定付き適正」の意見をつけた。」
EDINETで監査報告書を見てみました。以下その抜粋です。
2010年3月期(新日本)(無限定適正)
「追記情報
1.有価証券報告書の訂正報告書の提出理由に記載されているとおり、会社は金融商品取引法第24条の2第1項の規定に基づき連結財務諸表を訂正している。当監査法人は訂正後の連結財務諸表について監査を行った。
2.追加情報に記載されているとおり、平成23年11月8日の会社の有価証券投資等の損失計上の先送りの発表の結果、国内及び海外(英国、米国を含む)の捜査当局、監督機関その他の公的機関の調査が開始されており、これらの調査により有価証券報告書の訂正報告書提出日の翌日以後新たな事実が判明した場合には、連結財務諸表を訂正する場合がある。更に、会社の不適切な財務報告の結果、会社に対して会社米国預託証券の保有者が訴訟を提起しており、様々な株主及び株主グループが会社への損害賠償を求める、あるいは訴訟を起こすおそれがある。」
2009年3月期(あずさ)
「当監査法人は、下記事項を除き我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準は、当監査法人に連結財務諸表に重要な虚偽の表示がないかどうかの合理的な保証を得ることを求めている。監査は、試査を基礎として行われ、経営者が採用した会計方針及びその適用方法並びに経営者によって行われた見積りの評価も含め全体としての連結財務諸表の表示を検討することを含んでいる。当監査法人は、監査の結果として意見表明のための合理的な基礎を得たと判断している。
記
追加情報に記載されているとおり、受け皿ファンドの具体的な運用資産、評価額等に関する情報が十分に管理されておらず、平成20年3月31日現在のファンド運用資産67,815百万円に関する重要な証憑の一部が存在していないため、当監査法人は受け皿ファンドの具体的な運用資産、評価額等について、十分かつ適切な監査証拠を入手することができなかった。
当監査法人は、上記の連結財務諸表が、上記事項の連結財務諸表に与える影響を除き、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、オリンパス株式会社及び連結子会社の平成21年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況をすべての重要な点において適正に表示しているものと認める。
追記情報
1.有価証券報告書の訂正報告書の提出理由に記載されているとおり、会社は金融商品取引法第24条の2第1項の規定に基づき連結財務諸表を訂正している。当監査法人は訂正後の連結財務諸表について監査を行った。
2.追加情報に記載されているとおり、国内及び海外の捜査当局、監督機関その他の公的機関の調査により、有価証券報告書の訂正報告書提出日の翌日以後新たな事実が判明した場合には、会社は連結財務諸表を訂正する場合がある。更に、会社の不適切な財務報告の結果、会社に対して米国預託証券の保有者が訴訟を提起しており、様々な株主及び株主グループが会社への損害賠償を求める、あるいは訴訟を起こすおそれがある。」
あずさは、平成20年3月31日現在のファンド運用資産について十分な証拠が得られなかったとして、限定をつけているようです(新日本の監査対象期間については十分な証拠があった?)。
両監査法人とも、追記情報で述べている「国内及び海外の捜査当局、監督機関その他の公的機関の調査により、有価証券報告書の訂正報告書提出日の翌日以後新たな事実が判明した場合には、会社は連結財務諸表を訂正する場合がある」という点については、限定にはしなかったわけですが、今後当局の調査・捜査によって、何か大きな隠された事実が出てきた場合には、虚偽記載を見逃したということになってしまいます。この点は大丈夫なのでしょうか。
なお、当然のことながら、内部統制報告書も「財務報告に係る内部統制は有効でない」に訂正されています。
↓
「内部統制報告書の訂正報告書」の提出に関するお知らせ(PDFファイル)
純利益と純資産への影響がまとめられています。
↓
オリンパス、「内部統制」有効でないと判断 決算訂正(日経)
オリンパスが5年分の決算訂正、9月中間期の自己資本比率は低下(ロイター)
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