会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

経営権手に入れ横領、「食い物」に 相次ぐ社福法人不正 背景に曖昧なガバナンス(産経より)

経営権手に入れ横領、「食い物」に 相次ぐ社福法人不正 背景に曖昧なガバナンス

「寿老福祉会」という東京・墨田区の社会福祉法人で起きた事件(→当サイトの関連記事)などを紹介し、社会福祉法人のガバナンスの強化が必要という記事。

関係者に金銭を渡す見返りに福祉施設の運営などを行う東京都内の社会福祉法人(社福)の実質的経営権を得たとして、警視庁捜査2課が8月、元理事長の男を摘発した。福祉の充実のため税の優遇措置などが受けられる社福は運営に関する規制が大きいが、元理事長はこの社福の資金を横領していたほか、同様の手法で福岡の社福の経営権も手に入れ、「食い物」にしていたという。同様の事案はほかにも後を絶たず、専門家はガバナンス(組織統治)の強化を訴える。」

「理事、監事、評議員などで構成される社福には「株式会社の代表取締役のような『経営者』は本来存在しない」(厚生労働省の担当者)。ただ、組織には「ボス」がつきものだ。

寿老福祉会の場合、実質的に牛耳っていたのは同会元評議員、N被告(71)=社会福祉法違反(収賄)罪で起訴=だった。F被告は、理事長就任を支援する見返りとして現金2億8800万円をN被告に渡す約束を交わした。

実際には金銭は支払われなかったというが、N被告からの支持を取り付けたF被告は、4年1月~昨年7月の約1年半にわたって理事長を務めた。」

社福に経営者が本来存在しないいうのはひどい言い方です(本当に厚労省の担当者のコメントなのか)。非営利組織として果たすべき役割があるわけですから、それを執行する経営者は当然いるはずです。問題は、経営者を監督する機関が弱いことでしょう。また、株式会社の株主のような所有者はいないので、所有権(株主権)に基づく監督がないというのもガバナンスが効かなくなる理由でしょう。(株式会社のガバナンスもいつもうまくいっているわけではありませんが)

専門家のコメントなど。

「社会福祉制度に詳しい外岡潤弁護士は「株式会社や医療法人などとは違い、社福は公的な組織という性質上、所有権などの概念が曖昧となりガバナンスが効かなくなりがちになる」と指摘。反社会的勢力などを含めた「悪意」につけ入る隙を与えていると分析する。

捜査関係者によると、社福の売買希望者を仲介するブローカーの暗躍も確認されているという。外岡弁護士は、監督する行政側に対し「運営を担う人材を派遣する人材バンクのような組織を設けるなど、行政がしっかり管理できる仕組みを整える必要がある」と述べた。」

社福のガバナンスに問題があるからといって、完全な営利法人に任せられない分野もあるでしょう。行政がガバナンスを補完するしかないのでしょう。

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「不正経理」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事