仮想通貨の巨額消失事件があった「マウントゴックス」の元社長の刑事裁判で、業務上横領罪について無罪の判決が言い渡されたという記事。
「仮想通貨ビットコインの取引所を運営していた「マウントゴックス」(東京都、民事再生手続き中)の資金を着服したとして、業務上横領罪などに問われた同社元社長、マルク・カルプレス被告(33)に対し、東京地裁(中山大行(ともゆき)裁判長)は15日、一部の罪で懲役2年6月、執行猶予4年(求刑・懲役10年)の有罪判決を言い渡した。ただし、業務上横領罪については無罪とした。
同罪について、検察側はカルプレス被告が2013年、約3億4100万円を同社の口座から自身の口座などに移し、私的な事業投資などに流用したなどとして起訴。さらに「仮に同罪が成立しなくても、故意に会社に損害を与えた会社法違反(特別背任)が成立する」とも主張した。
これに対し、判決は「事業投資は同社の事業目的に含まれ、経営判断としても合理的。後々に回収の見込みもあった」と指摘。他の送金分も被告への貸し付けに当たり、返済の現実的見通しがあったと認定した。また、同社に損害を与えたとも言えないとした。」
実質的に、東京地検が負けたということでしょう。巨額消失事件の方が解決しなかったので、みせしめに、犯罪に見えそうな行為を探し出して経営者に罪を着せたということだったのかもしれません。もちろん、消失事件に対する経営者としての責任はあると思いますが、刑事責任は別問題です。
MTGOX元代表に猶予判決、着服は無罪=ビットコイン消失-東京地裁(時事)
「中山裁判長は、検察側が着服したとした顧客資金について、「会社に帰属する資金」と認定した上で、被告が会社経費を自身のクレジットカードで支払っていたことなどを挙げ、「会社から被告への貸し付けで、(会社資金の)横領にも当たらない」と判断。会社の売り上げが増加していたことにも触れ、「返済の可能性もあった」と述べた。」
顧客から預かっていた財産に手をつけてはいけないのは当然ですが、「会社に帰属する資金」であれば、会社運営に使うことはもちろん、役員への貸付に回すことも禁じられていないということでしょう。もちろん、役員への貸付もしかるべき手続を踏む必要がありますが...。
マウントゴックス社長、横領は無罪 東京地裁判決(日経)
「同被告は公判で全面無罪を主張し、大量消失についても「ハッキングされて盗まれた」と自身の関与を否定。警視庁の捜査でも、コイン消失の原因は解明されないままとなっている。公判で問われたのは大量消失とは直接関係のない資金操作を巡る罪で、弁護側も「起訴内容はマウントゴックスの破綻とは無関係だ」と強調していた。」
「中山裁判長は判決理由で、利用者が同社に送金した金銭は、同社に帰属すると指摘。金銭が利用者に帰属することを前提にした検察側の主張は採用できないと判断した。
その上で、同社は当時経営が順調で、カルプレス被告が会社のために相当額の出費をしていたことから、会社からの借り入れは相当程度許され、返済についても同被告の裁量が認められると指摘。問題とされた送金は同被告に対する貸し付けで、返済の現実的可能性もあったと認定し、横領行為には当たらないと結論づけた。
検察側が予備的な訴因として追加した会社法違反罪についても「会社に財産上の損害がなく、自身の利益を図ったり会社に損害を与えたりする目的もなかった」として成立を否定した。」
日産ゴーンと同じ"人質司法"の犠牲者?CNNが仮想通貨取引所マウントゴックスのカルプレスにインタビュー(Cointelegraph Japan)(再掲)
「CNNによると、カルプレス氏は11月半に及ぶ拘束期間中、詳細なノートを取り続けた。検察から一日の休みもなく50日間連続で尋問を受け、カルプレス氏は、早く終わらせるために罪を認めてしまうことを考えたという。」
The Carlos Ghosn case is putting Japan's system of 'hostage justice' under scrutiny(CNN)(後半がカルプレス氏へのインタビューです。)
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