ディー・ディー・エス(東証グロース)のプレスリリース。
過年度において、あやしい関連当事者取引があったことが判明したそうです。
「当社は、2022年5月13日に2022年12月期第1四半期決算発表に向けて準備を進めてまいりましたが、新たな関連当事者及び関連当事者取引の事実を確認し、現在その調査中であり、詳細の確定に時間を要することが判明しました。
現時点で判明したその内容は、2018年12月21日において、MICROMETRICS TECHNOLOGIES PTE. LTD.(以下、MMT社という)に対して、当社が開発したソフトウェアライセンスを442百万円で販売し、売上を計上しました。その後、当社は2020年8月25日においてMMT社を売掛金434百万円(上記の売上に関する売掛金である)及び40百万円の現金を対価として、第三者割当増資により55%の株式を取得し、子会社としております。しかしながら、社外からの指摘により、MMT社の既存株主であったGUNSMITH & SONS CORPORATIONは独立した第三者ではなく、当社役員(代表取締役会長)が過半数を保有する会社であることが判明したため、上記のMMT社との販売及びMMT社の子会社化の一連の取引に関連して、過年度の会計処理及び開示の訂正の要否を検討する必要が生じております。」
ソフトウェアライセンスの売上先が、代表取締役会長が支配している会社の子会社だとすれば、その売上先の会社(MMT社)は、売上の時点で、ディー・ディー・エスの連結子会社に該当する可能性が出てきます。その場合は、442百万円のソフトウェアライセンス売上は連結上消去されてしまいます(そのように過年度訂正をしなければならない)。子会社に該当していなくても(役員が支配しているからといって、会社が支配しているとは限らない)、関連当事者取引の注記がもれていたら、会計基準違反になり、重要性があれば過年度訂正が必要でしょう。
この件を調べるために、第三者委員会を設置するそうです。また、2022年12月期第1四半期の決算発表も延期とのことです。
(補足)
ライセンスの売上計上が2018年12月(決算月?)、売上先を子会社化したのが、2020年8月で、その時にはまだ売掛金が434百万円ものこっていたわけですから、1年半も経過していたのに、売掛金がほとんど回収されていなかったことになります。売上先側には4億円強のソフトウェアライセンスを購入して、それを使い、その代金を支払えるだけの見込みがあったのかどうか、本当に4億円強の価値のあるライセンスだったのかなど、売上時点で子会社でなかったとしても、チェックすべきポイントがありそうです。
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