2004年9月期中間決算における減損会計の事例集。なかなか充実しています。
事例を見ていて気になったのが、次のような注記です。
「当資産グループの回収可能価額は正味売却価額あるいは使用価値により測定している。」(三井不動産の連結注記(個別も同様))
減損会計基準では、重要な減損損失については回収可能価額の算定方法を注記しろといっていますが、回収可能価額は正味売却可能価額と使用価値の高いほうの金額ですから、三井不動産のような書き方だと、当たり前のことを書いてあるだけで、その企業特有の情報はなんら開示されていません。
大部分の企業は、正味売却価額と使用価値のどちらを用いたのかを記載したうえで、さらに細かい算定方法を書いています。三井不動産のような会計基準を無視した意味のない注記方法を採っているのは、ゼネコン・不動産業界の会社が多いようです。どこかで談合して意味のない注記に統一しているのではないでしょうか。
金融庁、財務局、会計士協会などは、こうした会計基準違反と思われる不適切な注記例については、きちんと指導して是正させるべきと考えます。
こんな簡単なことすら徹底できないのでは、日本の会計は欧米と同等だと主張しても、誰も信じないでしょう。
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