顧問先法人で発生した不正な資金流出を隠すような会計処理を指導したなどとして、税理士法人が訴えられていた裁判の控訴審で、税理士法人側が一部敗訴したという記事。約65万円(未払い報酬分差し引き前だと約305万円)の支払いを命じられたそうです。
「本件で顧問先法人が問題視した税理士法人の会計処理の1 つは、A社に対する未払金が存在しないにもかかわらず、この未払金があったものとして A社に対する仮払金と同額分の未払金を年度末に相殺処理した後に、次年度の期首にその仮払金及び未払金を復活させるというもの。これは、一般社団法人である顧問先法人の担当者(財務局長) による「仮払金(A社に対するもの)の金額を縮小したい」 という提案に対して、税理士法人の担当職員が考え実行したものだ。」
実はこの仮払金の中に不正支出が含まれており、税理士法人の担当職員も粉飾意図を知っていたようです。
1審は、税理士法人に以下のように義務違反があったと認めたものの、資金流出との因果関係を否定し、損害賠償請求は認めませんでした。
「東京地裁は、税理士法人が税務及び会計に関する顧問契約を遂行するに当たり、税務の専門家として記帳代行や決算申告書の記載内容は法律上適法なものであることが要請されていると指摘。 税理士法人が業務を行う際に得た情報と異なる財務書類等を作成することは許されないため、税理士法人は適正な財務書類等を作成する義務があるという判断を示した。」
高裁ではさらに、義務違反と資金流出との因果関係も認めて、賠償を命じました。ただし、8割の過失相殺で減額しています。
税理士は決算書自体に証明をつけているわけではありませんが、不正決算に荷担することは、当然認められないということでしょう。法律上だけでなく、職業倫理上の違反にもなるはずです。(税理士の倫理規則はよく知りませんが)
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