国際財務報告基準(IFRS)の採用を巡る議論で、「連結先行」だけでなく「連単分離」という意見も出ているという記事(経営財務9月29日号のコラム記事の要約)。
「連単分離」というのは、金商法では連結財務諸表のみ開示、単体財務諸表は会社法の計算書類として開示するという棲み分けをすることだそうです。
「連単分離」の根拠としては、
・国際会計基準の動向によっては(金商法、会社法、法人税法などの)法律間の調整も限界に達することが予想される。
・EU諸国も単体財務諸表は国内基準
・投資情報としての財務諸表は連結財務諸表のみを開示する国も多い(例:米国)。
・わが国でも四半期報告は原則的に連結のみ
・一時的であっても連単の基準が相違すれば実務上相当な手間がかかり、恒久的に分離した場合と大差ない。
といったことが挙げられています。
個人的にはこの記事でいっている「連単分離」の方向でよいと思いますが、少し考えてみると、障害となりそうなのが、会社法の「連結計算書類」の存在です。金商法の連結財務諸表はIFRS、会社法の連結計算書類は国内基準、というわけにはいかないので、両者は同じ基準で作成することになりますが、そうすると、同じ会社法の計算書類の単体と連結で、作成基準が異なるというわけのわからないことになってしまいます。また、IFRS改正の都度、会社計算規則を改正するというのも現実的ではありません。
連結は一般投資家向けの開示目的だと割り切ってしまって、会社法の「連結計算書類」は廃止してしまえばよいのではないでしょうか。もともと盲腸みたいな存在ですから、切ってしまって何らマイナスはありません。
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