会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

民事再生の(株)ひびき、架空売上で築いた金融機関との関係が脆くも崩壊(東京商工リサーチより)

【破綻の構図】民事再生の(株)ひびき、架空売上で築いた金融機関との関係が脆くも崩壊

埼玉県内を中心に焼鳥店を多数運営していた(株)ひびきという会社の破綻の経緯を取り上げた記事。

「「地元東松山のみそだれやきとり」を旗印に、2005年に埼玉県ベンチャー企業優良製品コンテストに入賞。2007年にも同コンテスト入選。埼玉県東松山市や川越市の注目企業としてマスコミにもたびたび登場していた。

だが、内実は父親の会社整理に伴う資金支援などで資金繰りが逼迫し、税金を滞納。これが表に出たことで粉飾決算に手を染めた。」

粉飾のきっかけや手口は...

「金融機関から法人税滞納の早期解消を求められたひびきは、2010年6月期頃に約3,000万円の架空売上を計上した。実態より売上を嵩上げし、財務内容を良くすることで金融機関から納税資金を調達し、税金滞納を解消することができた。」

「2011年3月、東日本大震災の影響で業績が悪化した時にも、金融機関との関係維持のため架空売上を計上した。

粉飾決算を隠すため、架空の売上により帳簿上の現金が増加したが、決算書上ではその現金を隠すため固定資産の取得を装うなど手の込んだ粉飾決算に嵌っていった。」

消費者向けの飲食店なので、売掛金を増やしたら不自然ですが、固定資産なら、積極的に設備投資をやっているという印象を与えることもでき、好都合だったのでしょう。

しかし、見かけ上業績がよくなったため、さらに泥沼に陥ってしまったようです。

「粉飾決算で築かれた信用を維持するため、ひびきは急速に出店を進めた。だが、出店効果の見返りが少ないまま、むしろ店舗管理の人員増強などで経費負担が増大、経営は一段と圧迫されていった。

さらに、2018年と2019年に立て続けに企業を買収した。だが、ひびきの事業とのシナジー効果は乏しく、買収費用やアドバイザリー費用が採算悪化に拍車をかけた。

ひびきが負の連鎖に陥るなか、酒類の提供や配膳を効率化するため独自のサーバー機器の開発に着手していたが、開発費用が重く圧し掛かかることとなった。

坂道を転げ落ちるひびきだったが、とどめは2018年に訪れた。会社の収益源でもあり、旗艦店でもあった「全や連総本店TOKYO」の撤退だ。自主再建を諦めたひびきは、民事再生法の下で、再建を目指すことになった。」
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