東証は、不適正意見・意見不表明・限定付適正意見等一覧を、8月18日に更新しました(2020年分)。
8月14日に、以下の会社で、四半期の限定付結論が出たそうです。
(株)ウェッジホールディングス
昭和ホールディングス(株)
インパクトホールディングス(株)
日本フォームサービス(株)
これらの会社は、それ以前の有報や四半期報告書でも限定付となっています。
そのほか、(株)ジャパンディスプレイが、何年分かの訂正有価証券報告書で、限定付適正意見となっています。
不適正意見はありません。
このうち、例として、ウェッジホールディングスの8月14日付四半期レビュー報告書(監査人は監査法人アリア)をEDINETでみてみると、以下のように述べています。
「 (追加情報)に関する注記(連結子会社Group Lease Holdings PTE.LTD.が保有する貸付債権等について)に記載されているとおり、会社の連結子会社であるGroup Lease PCL.(以下「GL」という。)の子会社Group Lease Holdings PTE.LTD.が保有する貸付債権等(以下「GLH融資取引」という。)に関連して、GLは、2017年10月16日及び同月19日に、タイ証券取引委員会(以下「タイSEC」という。)からGL元役員の不正行為や利息収入の過大計上、関連する決算の訂正などの指摘を受け、現在、タイ法務省特別捜査局による調査が行われている。この指摘に対し会社グループでは第三者委員会を設置しGLH融資取引を調査等したが、現在においても、タイSEC指摘の根拠を特定することはできていない。会社は第三者委員会の調査結果等も踏まえ、今後、タイ捜査当局による捜査並びに指導により会計的な影響の及ぶ可能性等も考慮し、前々々連結会計年度から、タイSEC指摘のGLH融資取引に関連する貸付債権全額(営業貸付金及び未収利息)に対して保守的な観点から貸倒引当金を設定しており、当連結会計年度の第3四半期連結会計期間末における当該貸付金債権全額(営業貸付金及び未収利息)に対する貸倒引当金は6,308百万円となっている。
当監査法人は、第三者委員会調査結果等の検討やGL会計監査人からの協力を得て独自にも追加的な検討を行ったものの、タイSEC指摘のGLH融資取引に関連するこれらの項目及びその比較情報について十分かつ適切な監査証拠を入手することはできず、これらの金額に修正が必要になるかどうかについて判断することができなかったため、前々々連結会計年度並びに前々連結会計年度及び前連結会計年度の連結財務諸表に対して限定付適正意見を表明した。」
昭和ホールディングスとインパクトホールディングスも、監査人は監査法人アリアで、同じ海外グループ会社の案件が問題となっているようです。
日本フォームサービスの監査人は、史彩監査法人です。「前々連結会計年度末後に監査契約を締結したため、前々連結会計年度末における棚卸資産の実地棚卸に立ち会うことができず」十分かつ適切な監査証拠を入手することができなかったことや、前々連結会計年度以前に関連する損益を前期損益修正としていることについて、限定をつけています。棚卸立会に関しては、本来、それに間に合うように監査契約を締結するか、前任監査人の立会手続結果を利用できるかどうかを契約前に確認すべきだったのでしょう。
新型コロナの影響による限定付や不表明が1件もなかったというのは、不思議ですが、監査人ががんばったということなのでしょうか。
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