IPO準備段階の(内部統制というより)ガバナンス体制整備の留意点について、IPO支援の公認会計士に聞いた記事。一般的な見方とちょっと違うようです。
ワンマン経営からの脱皮が求められますが...
「ワンマン経営により成長してきたスタートアップが急激にこのような体制に移行しても一筋縄にはいかない。幹部社員を経営陣である取締役へと育成していく期間が必要となる。このプロセスを誤ると成長は急激に鈍化することになりかねない。証券会社や監査法人のいうように安易に部下に権限委譲をしてはならない。」
社外取締役が重要だそうです。
「社外取締役には、経営者と同等に意見を述べることが出来る能力を有する人物を選任し、経営者が議論している姿を見せながら社内文化を醸成しつつ、社内に自立した意思決定を行うことのできる経営陣の育成もしくは補充や入替を進めていくこととなる。」
監査役・監査等委員も重要だそうです。
「現在のところ監査役会設置会社を選択する企業が多いと思われるが、監査役会設置会社では常勤監査役の選任が必要となる。しかしながら、規模の小さいスタートアップにおいては常勤の監査役がする業務量が少ないため、ハードな業務ができない高齢者や比較的短時間での業務を希望する女性有資格者の復職などが活用されるケースが多い。
しかしこれは常勤監査役の選任でコーポレート・ガバナンスを充実させるという本来の趣旨からは本末転倒だ。企業からの能力的期待の小さい常勤監査役が大きな権限を持つことによるトラブルは後を絶たない。」
できあがった会社の社外取締役や監査役とは、求められる資質がだいぶ違うようです。
常勤の監査等委員を必要としない監査等委員会設置会社の制度もありますが、会計監査人の設置が必要であるなど、ハードルが高いようです。
制度に関しては...
「スタートアップが上場準備までにゆっくり企業文化を醸成できる制度へと、適切な改正や見直しを行い、実効性を高め、必要十分な制度へと進化してほしい。」