会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

「のれん」償却、海外で復活するか 米国で議論停止(日経より)

「のれん」償却、海外で復活するか 米国で議論停止(記事冒頭のみ)

少し前の経営財務でも取り上げられ、当サイトでも解説記事などを紹介した問題ですが、米国でのれんの償却を再導入する検討がストップしたという記事。

「M&A(合併・買収)で生じる「のれん」の会計ルールの見直しを巡り、海外の議論が揺れている。日本の会計基準のように規則的に費用化する「定期償却ルール」の導入に前向きだったはずの米国が議論を停止し、関係者に衝撃が走った。」

「「突然止まったことに驚いている」。大手監査法人のパートナーは米財務会計基準審議会(FASB)についてこう語る。のれんの償却ルールの導入に向け進んでいたと思われていたが、6月に突如、議題から取り下げると決めたためだ。」

ストップした背景は...

「米FASBはまず非上場企業が、定期償却すれば減損テストは兆候があるときだけでいい、というやり方を選べるようにした。IBMやフォード・モーターなど大企業の支持もあり、上場企業にも償却ルールを再導入することを20年に暫定決定していた。

ここにきてFASBが急に立ち止まったのは、市場関係者の声を無視できなくなった面がある。CFA協会は21年12月、のれんの会計処理について世界の投資家やアナリストに聞いた調査の結果を発表。減損のみへの支持が合計58%と、償却再導入の31%を大きく上回っていた。

投資家は減損はM&Aの失敗を示す有用な情報であり、償却ではそれが見えにくくなると指摘する。米証券取引委員会(SEC)高官が2月、「のれん償却に対する投資家の見解は多様で、会計処理の変更を正当化するには堅固なプロセスと分析が必要」との声明を出した。」

IASBでの議論との関係もあります。

「これらの声を振り切って進めるより、いったん国際会計基準審議会(IASB)にボールを預けよう――。FASB理事にはこんな思惑が働いたようだ。IASBは今年10~12月にものれん償却の再導入について採決をとる。19年の採決では否決されたが賛否は拮抗し、改めて議論を続けてきた。

9月にはIASBとFASBが年1回の合同会議を開く予定で、のれんの議論を停止したFASB側の説明に注目が集まる。」

のれん償却のような大きな問題で、米国会計基準とIFRSが大きく異なる基準を決めるとは考えにくいので、何らかの調整を行うのでしょう。

日本への影響は、IFRS採用企業以外にも...

「海外基準がのれん償却に傾けば、主要会計ルールで日本基準の方に近づく事例としては「初めてのこと」(日本の会計関係者)とみられ、意義は大きい。一方で「海外が熟慮を重ねたうえで償却しないと決めたなら、改めて日本側が今の償却ルールを続けるべきかどうか、検討を迫られるかもしれない」(監査法人トーマツの鶯地隆継パートナー)との指摘もある。」

当サイトの関連記事(FASBでの動きについて)

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