会計検査院の試算によると、原発事故関係の東電への交付金を、東電やその他の電力会社から回収するには最長31年かかるそうです。
「東京電力福島第1原発事故への損害賠償交付金について、国が肩代わりしている資金の回収には最長で31年かかることが16日、会計検査院の試算で分かった。」
「国は原発事故の損害賠償にかかる費用として、政府の原子力損害賠償支援機構に対し、資金調達が必要なときに換金できる計5兆円の交付国債を発行している。9月までに3兆483億円が現金化され東電に交付、東電は賠償金2兆9100億円を支払った。
交付国債は東電と原発を持つ電力会社など計11社が、電気料金収入から「一般負担金」として返済。東電には、経営状況に応じ「特別負担金」が加算される。
試算の結果、交付国債の上限である5兆円全額が今年度中に現金化され、東電が来年度以降も一般負担金のみ1兆7441億円を支払った場合、回収が終わるのは31年後の平成56年度。ただ、東電の財務状況が好転し、特別負担金を含め3兆5320億円を支払えば39年度に、3兆2191億円を支払えば42年度に回収できる見通しだ。」
記事によれば、特別負担金は経営状況に応じ支払うことになっていますが、常識的に考えて、東電の株主への配当よりは優先して支払うことになるはずです(国の税金からの資金であるため)。ということは、最短で20年弱、最長で31年間(国からの交付が5兆円で済んだ場合)は、配当がなされないであろう会社の株式が堂々と東京証券取引所に上場されていることになります。非常におかしな状況です。
会計検査院:東電賠償回収に31年 上限5兆円で試算(毎日)
「検査院の試算は、一般負担金の総額が2011年度の納付水準と同じ年1630億円(うち東電約567億円)と仮定。経営が改善せず東電の支払いが一般負担金のみの約1兆7441億円にとどまった場合、5兆円の援助金回収に31年かかると試算した。一方、東電が総合特別事業計画(再建計画)通りに収支改善し、今年度から最終利益の半分を特別負担金として納めるようになれば、東電負担は約3兆2191億円となり、援助金の回収期間は17年に短縮する。さらに、東電が最終利益の4分の3を特別負担金として支払えば、東電負担は約3兆5320億円で、援助を14年で回収できる。」
東電賠償:国民負担さらに膨らむ恐れ(毎日)
賠償金だけでなく除染費用の問題もあります。
「今後の焦点は「最終的な費用が5兆円規模になる」(経済官庁幹部)とも言われる除染への対応。国は現在、除染費用をいったん立て替えており、将来的に東電や大手電力から資金を回収する意向。一方、東電や電力業界は国費による分担を求めている。」
国費による負担を求めるのは勝手ですが、現時点では東電が負担すべき費用を国が立て替えているだけですから、東電はその総費用を見積ってただちに損失計上する必要があります。国や他の会社が一部負担してくれることが決まったら、決まった時に、その分を特別利益にすればよいのです。債務免除の会計処理と同じです。
大島提案で火が付いた「東電解体」(日経ビジネス)
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