(昨年末のものですが)出前館(ジャスダック)が過年度有報の訂正報告書を提出したという記事。
「監査法人の指摘で判明した債権債務残高の誤謬について、社内調査委員会の調査で不適切な会計処理があったと認定されたため。
調査委員会の調査報告書によると2016年8月期以降、決済代行会社に対する未収入金の過大計上が23億2500万円あった(2021年8月末時点)ほか、未払金の過大計上も9億8500万円(同8月末時点)確認された。」
2020年8月期の有報・四半期報告書から、2021年8月期の四半期報告書までが訂正されたそうです。2021年8月期の有報も期限より遅れてはいますが、提出できたようです(2021年8月期本決算の決算短信は訂正したものを発表)。
過年度の有価証券報告書等の訂正報告書の提出及び2021 年8月期決算短信の訂正に関するお知らせ(出前館)(PDFファイル)
影響額は...
(上記プレスリリースより。単位:千円)
誤謬に係る社内調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ(出前館)(PDFファイル)
やたらと「誤謬」であることを強調しています。
「社内調査委員会の調査の結果、当社の出前館事業に関し、2016 年8月期以降の決済代行会社に対する未収入金の過大計上 2,325 百万円(2021 年8月末時点)に加え、当該未収入金の過大計上に付随する未払金の過大計上処理、配送代行委託業者に対する外注費の消費税処理の誤りによる未払金の過少計上及び四半期決算時の未払金に関する会計処理の誤りといった各種の誤謬による未払金の過大計上 985 百万円(2021 年8月末時点)が確認されましたが、いずれも誤謬による不適切な会計処理と認定されております。
また、当社は、出前館事業の急拡大に伴う会計処理の大量化・複雑化に対するリスクを十分に認識しておらず、リスクに応じた体制整備が遅れて未収入金・未払金等の会計処理を適切に行うための業務プロセスの問題が未対応のまま業務が継続された結果、本件誤謬の発生に至ったと認定されております。そして、具体的な発生原因としては、①未収入金・未払金に係る業務マニュアルの未整備、②未収入金・未払金・代理店報酬の不十分な管理、③財務経理グループにおける不十分なチェック体制、④財務経理グループにおける未収入金の会計処理に関する理解不足との指摘を受けております。」(上記プレスリリースより)
調査のきっかけは...
「当社は、2021 年 10 月 14 日に 2021 年 8 月期決算短信を公表していたところ、同月
29 日に至り、2021 年 8 月期決算に係る監査手続の過程において、当社の監査人である EY 新日本有限責任監査法人の指摘により、決済代行会社 2 社に対する未収入金の残高確認で残高差異が存在することが判明し、2021 年 11 月 5 日、部門横断的な役職員 7 名で構成される社内調査チームを組成して初期調査に着手した。」(上記プレスリリースに添付された調査報告書より)
決済代行会社2 社に対する未収入金の過大計上については...
「当委員会の調査の結果、「出前館」のキャッシュレス決済を代行する決済代行会社2 社に対する未収入金の過大計上が確認された。
当社は、1 社とは 2015 年 4 月より、もう 1 社とは 2018 年 9 月より決済代行に関する取引をそれぞれ開始し、配達日を基準としてそれら決済代行会社 2 社に対する未収入金を資産計上していた。入金のタイミングについては当社と各決済代行会社との決済条件により異なるところ、当社の決済代行会社に対する未収入金の回収サイクルは、基本的には月末締めで翌月の回収となるが、それら 2 社に限っては、より短期間で締める回収サイクルが合意されていた。したがって、それら 2 社との関係では、締め日と入金日の回収サイクルから当社がある月に計上する未収入金の一部は当月末までには回収済みとなるにもかかわらず、当社の財務経理グループでは、当月に回収された金額を考慮せず月次調整処理を行っていた。
その結果、決済代行会社 2 社に対する未収入金が過大計上されるとともに、その相手勘定である未払金も過大計上された。」
日常処理として、未収入金を発生主義で計上し、入金日に未収入金の入金として処理していれば、回収サイクルがどうであろうと関係ないように思われますが、日常的には現金主義で処理し、月次の処理として未収になっているであろう分をまとめて計上(翌月洗い替え処理)していたというようなことなのでしょうか。
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