会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

監査人交代事例2件(5月31日・6月1日)

最近の監査人交代事例です(5月31日・6月1日発表分)。

1.サクサホールディングス(東証1部)

会計監査⼈の異動に関するお知らせ(PDFファイル)

新日本→東光監査法⼈、の交代です。

現監査人から、必要な監査リソースが確保できないという理由で、退任を申し入れてきたそうです。

「当社は、2020 年 10 ⽉ 12 ⽇付で不適切な会計処理に伴う過年度決算に関する訂正報告書等を提出し、また、同⽇、「財務報告に係る内部統制の開⽰すべき重要な不備に関するお知らせ」を公表し、当該不備を前提とした通常の監査内容以上の監査⼿続きが必要な状況が続いております。さらに、同年 12 ⽉ 4 ⽇付で株式会社東京証券取引所に「改善報告書」を提出し、同報告書に基づく改善措置を実施しております。

このような状況の中、現会計監査⼈から来期の受嘱にあたり、必要な監査リソースが確保できないことを理由に 2021 年6⽉ 29 ⽇開催予定の当社第 18 回定時株主総会終結の時をもって退任したい旨の申し出があり、上記3.の理由により、新たに東光監査法⼈を会計監査⼈として選任することといたしました。 」

大手監査法人ですら必要な監査リソースを確保できないのに、中小監査法人が確保できるというのも、少し不思議ですが、リスク評価が異なれば、そういうことはありうるのでしょう。

当サイトの関連記事(多額の調査・監査費用計上や限定付意見について)

2.フレンドリー(東証2部)

公認会計士等の異動に関するお知らせ(PDFファイル)

仰星監査法人→トーマツ、の交代です。

現監査人から契約更新を辞退してきたそうですが、単なる監査工数の増加だけでなく、親会社の連結監査のための追加監査にもふれており、親会社との監査人統一が大きな要因なのでしょう。

「仰星監査法人より、当社に対する監査工数の増加及び当社の親会社の連結監査に必要な追加監査に対して増加する監査工数に対応することで、現状の生産性と品質を維持することが困難であるため、今後の監査体制等を勘案した結果、任期満了をもって契約更新を差し控えたい旨の申し出を受けておりました。

当社といたしましては、親会社である株式会社ジョイフルと会計監査人を同一とすることにより、会計監査の効率化及びグループ連結決算の一元的な管理体制の確立を図ることができると判断し、新たに有限責任監査法人トーマツを会計監査人に選任するものであります。 」

これらとは別に、監査人の期中交代に関連して、株主総会の延期を発表した会社があります。

第29期定時株主総会の延期に関するお知らせ(燦キャピタルマネージメント)

「一時会計監査人による監査業務において、新型コロナウイルスの影響等もある状況下で、監査手続の実施に通常以上に時間を要することから、監査済みの計算書類等を株主様にご提供したうえで決議事項についてご審議いただくため、令和3年6月下旬に行う予定であった第29期定時株主総会を延期することといたしました。」

5月下旬に監査人が交代して、その後の監査役監査も含めて、6月下旬の株主総会に間に合わせるというのは、そもそも無理だったのでしょう。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「会計監査・保証業務」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事