企業会計基準委員会は、「現在開発中の会計基準に関する今後の計画」の改訂を、2021年6月1日に公表しました。
最も重要と思われる、「リースに関する会計基準」については...
「2019 年 3 月に、すべてのリースについて資産及び負債を認識するリースに関する会計基準の開発に着手することを決定した。これまで、関連する業界団体から意見聴取を行った後、各論点について検討を行い、公開草案の公表に向け審議を進めている。 」
そのほか、公表が迫っているプロジェクトは...
・公正価値測定に関するガイダンス及び開示
「投資信託の時価の算定(不動産投資信託の貸借対照表における評価を含む。)及び貸借対照表に持分相当額を純額で計上する組合等への出資の時価の注記について検討を行ってい
る。 」
「2021 年 1 月 18 日に、企業会計基準適用指針公開草案第 71 号(企業会計基準適用指針第31 号の改正案)「時価の算定に関する会計基準の適用指針(案)」を公表した。2021 年 3 月18 日にコメントを締め切り、現在、公開草案に寄せられたコメントへの対応を検討している。2021 年 6 月に最終化することを目標としている。」
・連結納税制度の見直しへの対応
「2021 年 3 月 30 日に、実務対応報告公開草案第 61 号「グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示に関する取扱い(案)」(コメント期限:2021 年 6 月 11 日)を公表している。2021 年 8 月に最終化することを目標としている。 」
5月31日のASBJ会議で「検討の進め方」が審議された「金融商品取引法上の「電子記録移転権利」又は資金決済法上の「暗号資産」に該当するICO トークンの発行・保有等に係る会計上の取扱い」については、2つの項目の両方とも、当面の成果物が「論点整理」になってしまいました(前回までは最初の項目は「公開草案」が目標でした)。
「金融商品取引法上の「電子記録移転権利」に関する発行・保有等に係る会計上の取扱いについては、これまで識別した会計上の論点に関して、関係者からの意見を募集するために論点整理を公表する予定である。また、資金決済法上の「暗号資産」に該当する ICO トークンの発行・保有等に係る会計上の取扱いについても、会計上の論点の分析及び基準開発の必要性に関して、論点整理を公表する予定である。 」
5月31日の会議資料によると、
「電子記録移転有価証券表示権利等の発行及び流通取引が実験的に開始されているが、今後取引が広まっていくかどうかも現時点では定かではないものと考えられる」
「いわゆる ICO による国際的な資金調達は 2017年から 2018 年中旬にかけて増加し、その後急減している。また、我が国においても、事務局が調べた限りでは、2019 年以降、新たな ICO トークンの発行は行われていない」
という現状だそうですから、あわてて基準化する必要はないという判断なのでしょう。
ただし、欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)が2020年7月に公表したディスカッション・ペーパー「暗号資産(負債)の会計処理」に対するコメント(今年の7月が提出期限)は、提出するそうです。
5月31日のASBJ会議資料より。
↓
4. 金融商品取引法上の「電子記録移転権利」又は資金決済法上の「暗号資産」に該当するICOトークンの発行・保有等に係る会計上の取扱いの検討の進め方(PDFファイル)
別紙として、暗号資産を巡る動向、ASBJでのこれまでの検討結果、関連法令などをまとめた資料がついています。
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