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独首相に疑惑浮上 税の不正還付、当局が調査(時事より)

独首相に疑惑浮上 税の不正還付、当局が調査

ドイツのショルツ首相が、ハンブルク市長時代に税金の不正還付に関与していた疑惑が浮上しているという記事。銀行が不正な還付を受けられるよう、ショルツ氏が口利きしたのではないかという疑いがかかっています。

「問題となっているのは、「カムエックス」と呼ばれる税還付の手法。配当支払日前後の短期間で株式を売買して配当の受取人と課税対象者を分かりにくくし、実際には支払っていない税の還付を受ける手口だ。

2018年に複数の欧州メディアが合同で調査報道の結果を公表し、注目された。被害額は全世界で1500億ユーロ(約20兆7000億円)に上ると伝えた。

ショルツ氏は11~18年にハンブルク市長を務めた。市税務当局が16年、不正還付を受けたと見なした同市の銀行に返納を求めたが、ショルツ氏と同行トップの面会後、期限切れを理由に市は返納請求を断念した。ただ、その後の訴訟を受け、銀行は返納を行っている。」

ショルツ氏の関与の有無はともかく、20兆円というのはたいへんな金額です。

欧州の大きな銀行が関与しているようです。

[FT]ドイツ銀、内規に反して顧客への不正な税還付を支援(日経)(記事冒頭のみ)

「ドイツ銀の元・現従業員70人以上が、ケルン検察当局による捜査の対象となっている。複数の当局が目下、「Cum-Ex取引」と呼ばれる巨額詐欺の真相究明に大々的に乗り出しており、ドイツ銀が深入りしていた実態が明るみに出た。

英バークレイズや豪マッコーリー、伊ウニクレディト傘下の独ヒポ・フェラインス銀行といった主要金融機関も関係しているCum-Ex取引は、国庫に本来納められるべき税金を長期間にわたって不正に環流させてきた仕組みで、計1500人がケルン検察当局の取り調べを受けている。」

「Cum-Ex取引は、配当権利落ち日前後の株式取引を通じて、はなから納めてもいない税金の還付を受けられるようにだます手口で、欧州大陸の国々から多額の歳入を奪ってきた。「Cum」と「Ex」はラテン語でそれぞれ「(権利)付き」「(権利)落ち」を意味する。

内部調査によると、ドイツ銀の税務部門は当初、行員から直接的な実行の許可を求められたCum-Ex取引と距離を置こうとした。同行の税務専門家は、税還付を受けられる仕組みの存在を当時認識しつつも、不正の要素が拭えず、大きく評判を落とす羽目になると主張していた。

それにもかかわらず、同行ロンドン支店の投資銀行員が間接的な方法でCum-Ex取引に関与したことが、内部調査で暴かれた。フレッシュフィールズは「いくつもの法令・内規違反を突き止めた」と明かした。

独財務省は、01~11年に国内で少なくとも39億ユーロ(約5300億円)の税金が不正に還付されたと発表している。」

ドイツ銀行の脱税調査、現・元最高幹部に及ぶ-関係者(2019年)(ブルームバーグ)

「CUM-EXは1回しか支払われていない配当の税金について複数が税還付を要求できるようにしていた取引で、他にも関わっていたとされる銀行はある。ドイツ銀はこの取引に買い手としても売り手としても参加したことはないとの主張を維持している。だが、ブルームバーグが閲覧した同行の内部文書やドイツ捜査当局の動向に詳しい関係者によると、顧客にCUM-EXのサービスを提供して利益を得ていた実態が浮かび上がる。

CUM-EX顧客がドイツ銀から受けていた融資は10億ユーロ(約1220億円)に上る。この取引が最も活発だった2008年から11年には、CUM-EXしかやらない顧客も受け入れていた。関係者によると、ドイツの捜査当局は同行がCUM-EXを専門に行う業者と利益配分協定を結んでいたことも突き止めた。」

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