会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

4大監査法人に気候変動リスク対処を要請、欧州投資家らが書簡(ロイターより)

4大監査法人に気候変動リスク対処を要請、欧州投資家らが書簡

欧州の大手投資家がビッグ4事務所に対して、気候変動リスクへの対処を求める書簡を送ったという記事。(記事では「監査法人」と訳していますが、日本の「監査法人」制度とは別です。)

「運用資産が合計1兆ポンド(1兆2800億ドル)を超える欧州の29の投資家が4大監査法人(EY、デロイト、KPMG、PwC)に対し、気候変動の関連リスクを見過ごさず早急に行動するよう求める書簡を送っていた。今年1月に送付した書簡が初めて公表された。

投資家らは、会計・監査業務で気候変動リスクが「無視されている」ことに懸念を表明。気候変動抑制のための2015年パリ協定が政府の実行段階に入っている中で、監査法人は将来の低炭素化社会に向けて急速な移行が起きる可能性を重視していないと指摘している。」

この投資家グループを率いている資産運用会社の人のコメントによると、「企業トップが将来的な損失や法的責任の反映を怠っていることに監査法人は警報を発してほしい」という趣旨のようです。

気候変動問題は重要ですが、会計事務所に何かやれというのは、若干、お門違いという感じはします。石炭火力発電所を減損処理しろといきなり言うわけにはいかないでしょう。

気候変動問題にプラスになるような税制度の提案などはできるのかもしれません。

ビッグ4のうち、EYとデロイトはロイターにコメントを寄こしたそうです。

そのうちデロイトのコメント。

「デロイトの広報担当者は、気候変動が顧客の重大なリスクであることは認識しており、その問題意識を監査業務に反映させていると述べた。」

現行の監査基準では、監査クライアントの事業を理解するプロセスで、気候変動リスクを意識するという程度でしょうか。

関連記事。ビッグ4がターゲットになっているというよりは、金融関連業界全体に圧力がかかっており、会計事務所はその一環なのでしょう。

グレタ騒動で注目、いま中央銀行は「環境問題」に取り組むべきか(現代ビジネス)

「新しいEUの2トップが環境重視のスタンスを大っぴらに語るようになっていることは欧州が持つ環境問題への意識の多寡が他国・地域よりも強いものであることを象徴していると言って良い。理想に振れやすい欧州だけにその過剰な動きが何らかの「歪(ひずみ)」を生むのではないかという不安は抱く。

確かに環境問題は重要であり、無関心を決め込んでいいものではあるまい。しかし、だからといってそれを中央銀行が考慮すべきかどうかは全く別問題ではないのか。

率直に言って環境問題を斟酌した金融政策運営は無理筋である。今回の本欄では(1)政策波及経路が想像できない、(2)役割区分を取り違えている、という2点から考察したい。気候変動が「重要か、重要ではないか」という視点ではなく、「中央銀行がやる筋合いなのか」という視点を持って評価すべき話だと筆者は考えている。」

「気候変動」は経済政策に影響大、音楽ライブもF1も環境配慮へ(DOL)
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