国内大手法律事務所のTMI総合法律事務所が「総合コンサルティング事務所」への変身を狙っているという記事。監査法人系法律事務所の参入に危機感を抱いているのだそうです。
「TMI総合は3日、業界初とされるベンチャーキャピタル(VC)を設立した。同時に起業したスタートアップにVCを通じて5千万円を投融資する。
スタートアップはTMIに所属する弁護士ら5人で設立する。今、企業から熱い注目を浴びる「個人データを扱う際のプライバシーとセキュリティーに関するコンサルティング」を提供する。数年内に技術者を10人単位で採用する方針で、小さいながら「専門コンサル会社」に育てる意向だ。」
「TMIが目指すのはグループとして「法律業務を中核とした総合コンサル事務所」に変身することだ。これまでは弁護士法で独占する法律業務で潤ってきたが、環境変化で仕事を広げざるを得なくなった。」
弁護士の増加や、デジタルトランスフォーメーションの波のほか、監査法人系の参入を背景としてあげています。
「変化の第2は、大手国際監査法人系グループの法律業務への参入だ。13年にアーンスト・アンド・ヤング(EY)、14年にプライスウォーターハウスクーパース(PwC)、15年にデロイト・トウシュ・トーマツが、それぞれ日本で弁護士法人を開設した。
監査法人系に所属する弁護士は10〜20人程度と、まだ規模は小さい。とはいえ、M&A(合併・買収)に伴って契約書を作成したり監査したりする法務デューデリジェンスという、大手法律事務所が金城湯池としてきた業務に参入を図っている。
監査法人系は経営やM&Aへの助言、税務、不正調査といったサービスを取りそろえる。「企業が直面する悩みにワンストップで応じる」(鹿島章PwCグループ・マネージングパートナー)
一方、法律事務所は株主総会や訴訟など企業との接点が限られる。「このままでは監査法人系に総取りされる」(TMIの田中克郎・代表弁護士)との危機感が強い。」
「日本の法律事務所の陣容は大手でも1千人程度で、公認会計士などを擁する監査法人系グループの10分の1程度。監査法人系は国際ネットワークも持つ強敵だ。」
監査法人系にも弱みはあると思います。例えば、監査法人の監査クライアントの訴訟に関与して、クライアントの代弁者となったり、逆にクライアントと法律問題を争っている先をその問題について支援したりすることは、独立性や利益相反の問題から、制限がかかるはずです。ただし、一般的な法務サービスの提供だけであれば、そういう問題は少ないのでしょう。
記事で名前が挙がっているEYの弁護士法人のサイト。
↓
https://law.eyjapan.jp/
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