会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

米PCAOB、E&Yとそのパートナーに対する懲戒処分を公表

PCAOB Announces Settled Disciplinary Order for Audit Failures Against Ernst & Young and Four of its Partners

米国上場会社の監査を監督しているPCAOBは、大手会計事務所E&Yに対して2百万ドルの罰金を課すことを公表しました。4名の元・現パートナーに対する処分も行われます。PCAOBの規則と基準に違反したとされています。

The Public Company Accounting Oversight Board today announced a settled disciplinary order censuring Ernst & Young LLP, imposing a $2 million civil money penalty against the firm, and sanctioning four of its current and former partners for violating PCAOB rules and standards.

2百万ドルの罰金というのは、PCAOBが今まで課した中で最高額だそうです。

The $2 million civil money penalty against the firm is the Board's largest civil money penalty to date.

この処分は、Medicis Pharmaceutical Corporationの監査と、その監査に対するEY内部の監査品質レビューに関連するものです。

The order related to three E&Y audits of Medicis Pharmaceutical Corporation, and a consultation stemming from an internal E&Y audit quality review of one of the audits.

2005年から2007年までの財務諸表の監査において、E&Yとそのパートナーが、会社の財務諸表における重要な部分である返品引当金の評価を正しく行わなかったとされています。

In the audits of Medicis's Dec. 31, 2005, 2006 and 2007 financial statements, the Board found that E&Y and its partners failed to properly evaluate a material component of the company's financial statements ― its sales returns reserve.

PCAOBの2008年の検査において、返品引当金に関する会社の会計処理をE&Yが容認したことについて指摘がなされました。最終的に、E&Yは、会社の会計処理が会計原則違反であることを認めました。

In connection with a 2008 inspection of E&Y's audits of Medicis, the PCAOB Division of Registration and Inspections staff questioned E&Y's acceptance of the company's accounting for its sales returns reserve. E&Y ultimately concluded that Medicis's reserving for its sales returns was not in conformity with U.S generally accepted accounting principles (GAAP).

会社は、返品引当金の会計処理を訂正し、SECに訂正報告書を提出しました。

The company corrected its accounting for its sales returns reserve and filed restated financial statements with the Securities and Exchange Commission as a result.

4名のパートナーには、25000ドルまたは50000ドルの罰金、一定期間PCAOB登録事務所と関係を持つことの禁止(結果としてその間上場会社の監査ができなくなる)などの処分が課されます。

日本でも、金融庁による監査事務所への検査が行われていますが、そうした検査の結果によって、上場企業の決算が訂正されるというケースはまだないようです。日米の違いの一つといえます。

また、監査事務所への課徴金制度は、実例はないものの、日本にも存在しますが、監査法人のパートナー個人への罰金という制度は(たぶん)ありません(金融商品取引法と公認会計士法を調べてみないとわかりません)。

Censuring E&Y, PCAOB Hits Firm’s Lack of Skepticism(CFO)

監査法人に初の課徴金も オリンパス損失隠し、金融庁が処分視野に調査(SankeiBiz)(再掲)
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