為替デリバティブで損失を被った中小企業が、全国銀行協会の金融ADR機関に解決を求める件数が増大しているという記事。中小企業が被った損失額や違約金のうちのかなりの金額を銀行から取り戻せるようです。
「全銀協が公表している為替デリバティブ取引に関わる「斡旋の申し立て事案とその結果」(2011年度第2四半期)では、「ヘッジニーズがないにもかかわらず締結させられたデリバティブ取引の解約要求」や「説明不十分で締結させられたデリバティブ取引の解約要求」などの申し立てが多く、斡旋手続きの結果、銀行が応分の負担を余儀なくされるケースが大半を占めている。」
「中小企業の為替デリバティブ損失は、10年11月に国会で問題視されて以降、「これまで大きな問題となるとは予想しなかった」(メガバンク幹部)というのが正直なところであろう。しかし、いざ蓋を開けてみれば、為替ニーズがない中小企業に複数の銀行が一斉に取引を働きかけ、過大なリスクを負わせた実態が次々に明らかになっていった。しかも、本業はしっかりした優良企業が予想外の損失を被る事案が少なくない。」
こういう記事を読むと、中小企業こそ、会計上、デリバティブ取引の時価評価が必要だと思われます。残念ながら、先日公表された「中小企業の会計に関する基本要領」では、パブリックコメントでの指摘があったようですが、結局デリバティブ取引はルールの対象外となっています。
もちろん、時価評価だからといって、意味のないリスクを完全に回避することができるわけではありませんが、時価を決算に反映させなければならないということになれば、経営者もデリバティブにかかわるリスクに敏感になるはずです。金融機関にだまされることも少なくなるでしょう。
紛争解決等業務の実施状況(全銀協)
最近の「企業会計」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事