ポイントサービスを実施している主要50社がポイントの将来の利用に備えて積んだ引当金が、2006年度決算で2700億円超となり、前の年度末に比べて、4割ほど増えたという記事。
ポイント引当金は実務に定着しているようですが、きちんとした会計基準があるわけではありません。昨年国際会計基準の解釈指針案(「カスタマー・ロイヤリティ・プログラム」)が公表されて、収益の繰延として引き当てるのか、それとも、将来発生する費用を見越して引き当てるのかという論点が出てきました。
例えば、あまりよい例ではありませんが、1杯300円(原価100円)のコーヒーを2杯飲むと3杯目はただになるという販促プログラムがあったとします。会計処理としては、2杯のコーヒーの売上があったときに、顧客からは600円受け取っているが、そのうち200円分はまだ顧客に提供していない3杯目の売上の分だと考えて、200円を繰り延べ収益にする方法と、売上はあくまで600円だが、3杯目の原価100円が将来発生するのでその分を引き当てる方法が考えられます。国際会計基準解釈指針案では、収益の繰延として処理する方法を提案していますが、実務的に難しいという意見もあるようです。
ポイント引当金は、おそらく収益の繰延の考え方にあたるのだと思いますが、表示上は販管費になっていたりと、ちぐはぐな面もあります。
日本公認会計士協会のコメント(PDFファイル)
D20 - Customer Loyalty Programmes(IASBのサイトより)
この指針案が対象としているような取引に該当するのかはわかりませんが、ソフトバンクなどの携帯電話会社が導入している携帯電話端末の分割払いと分割払い期間の通話料値引きを組み合わせた制度を考えてみると、費用引当説だと、通話料を値引きしても利益が減るだけで追加的コストはかからない場合、引当金は不要ということになるのでしょう。他方、収益繰延説だと、形式上端末売上だけれども、一部分は通話料の売上と解釈して、繰延べるのかもしれません。
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