会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

金融商品会計基準(貸付金の減損含む)、検討本格開始へ(大和総研より)

金融商品会計基準(貸付金の減損含む)、検討本格開始へ
-時価の算定方法も見直しへ—


企業会計基準委員会が金融商品会計の見直しについて検討を開始したことを取り上げた解説記事。

「ASBJ(企業会計基準委員会)は、2018年1月25日の理事会で今後の金融商品会計の見直しについて、その要否も含め、検討を開始した。検討に際しては、「日本基準を国際的に整合性のあるものとするための取組み(金融商品)」(以下「取組文書」)という文書が用いられた。2月2日の金融商品専門委員会でも同文書に基づいた議論がなされた。」

「取組文書では、「減損」を検討の優先度が高い項目ととらえている。「減損」は、金融機関によるローンの評価が中心で、IFRSも米国基準も、トリガーとなる事象の発生の有無に関係なく、将来予測的な情報を反映した予想損失を計上するアプローチを適用している。わが国の金融機関の貸倒引当金等の算定では、全面的に将来予測情報によることが求められているわけではない。さらに、金融庁は昨年12月に、金融機関の自己査定について定めている金融検査マニュアルを平成31(2019)年4月1日以降の年度から廃止する方針(案)を公表しており、今年の夏を目途に考え方を示していく予定である。

これらを踏まえ、取組文書では、今後の進め方として、金融商品会計のうち、まずは「減損」のみについて見直しに着手するか、「分類及び測定」、即ち評価方法と「ヘッジ会計」も含めた三つの分野すべての見直しに着手するか、などについて、2018年上半期中を目途に意見を募集することとしている。」

「さらに、時価の算定方法や開示などを定めるIFRS第13号「公正価値測定」の受け入れの可否も、既に2017年11月から検討が開始されている。」

検討が始まるとしたら、比較的大きな基準改正につながりそうです。

1月25日の会議資料より。

日本基準を国際的に整合性のあるものとするための取組み(金融商品)(企業会計基準委員会)(PDFファイル)

会計士協会は、金融検査マニュアル廃止が盛り込まれている金融庁の「検査・監督方針」(案)に対して意見を提出しています。

「金融検査・監督の考え方と進め方(検査・監督基本方針)」(案)に対する意見について(日本公認会計士協会)

「金融検査マニュアルの自己査定(別表1)が廃止された場合、償却及び引当の基礎となる債務者区分、金融再生法における資産査定や銀行法施行規則に基づく開示債権(リスク管理債権)といった銀行業の財務諸表等の作成の基本となる考え方が失われることになると考えます。

したがって、以下8でも記載の通り、現在、企業会計基準委員会において、金融商品に関する会計基準の改訂に向けて検討を開始することを予定していることから、現行会計基準の改訂及び関連する法令諸規則の改正が行われるまでは、別表に記載されている資産査定の基本的な考え方は明文として残すべきと考えます。 」

「法令に準拠した開示を行う観点からは、金融検査マニュアル及びその関連文書が廃止された場合には、銀行法施行規則及び金融再生法施行規則に定める貸出条件緩和債権に該当するかどうかについての統一的な判断基準が無くなるため、実務上の取扱いに幅が出ることも予想されます。したがって、貸出条件緩和債権に関する取扱いについては関係者との協議に基づき基本的な考え方を明確に示すことが必要と考えます。 」

「支払承諾見返に係る貸倒引当金の計上、破綻懸念先以下債権の未収利息を原則資産不計上とする取扱い、部分直接償却の取扱い、DCF法を適用する大口債務者に係る債務額の基準(100億円)、破綻懸念先債権の引当方法のうちⅢ分類額から合理的に見積もられたキャッシュ・フローによる回収可能な部分を除いた残額を引き当てる方法(DCF法とは異なる方法)については、金融検査マニュアルの記載が銀行業の財務諸表等の作成における実務として定着していることから、金融検査マニュアル廃止後の取扱いについて、何らかの考え方を示すことが必要と考えます。 」

役所のマニュアルという会計基準の体系の枠外のものに大きく頼っていたということ自体が、少しおかしかったのでしょう。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「企業会計」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事