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財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ(キヤノン)

財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ(PDFファイル)

キヤノンのプレスリリース。

2020 年 12 月期(第 120 期)の内部統制報告書において、開示すべき重要な不備がある旨を記載したとのことです。

「当社の財務報告に係る内部統制の有効性について、評価手続きを実施した結果、COSO 規準におけるリスク評価統制活動の原則に関連する内部統制の不備が発見されました。

(1) 内部統制のシステムと統制活動に影響を与え得る重要な変化を特定し分析する
(2) リスクへの対応が適時に実施されることを確保するために統制活動を適応させる

これらに加え、当該重要な変化やそれらが内部統制に与える影響を会社が考慮したことを示す十分な証拠が作成、維持されていなかったことも考慮し、当該不備は開示すべき重要な不備(Material Weakness)に該当すると判断いたしました。」

EDINETで監査報告書も見てみました(監査人はトーマツ)。

「当監査法人は、以下に示す開示すべき重要な不備(Material Weakness)があるため、キヤノン株式会社が、2020年12月31日現在において、COSO規準(2013年版)を基礎とする、財務報告に係る有効な内部統制を維持していないと判断した。」

「開示すべき重要な不備(Material Weakness)

開示すべき重要な不備(Material Weakness)とは、年次又は中間期の財務諸表の重要な虚偽表示が適時に防止又は発見されない可能性があり得る財務報告に係る内部統制の不備又は不備の組合せを意味する。内部統制報告書には以下の開示すべき重要な不備(Material Weakness)が含まれている。

キヤノン株式会社は、財務報告に係る内部統制の有効性の評価手続を実施した結果、COSO規準におけるリスク評価と統制活動の原則について、以下に関連する内部統制の不備を識別した。

1) 内部統制のシステムと統制活動に影響を与え得る重要な変化を特定し分析する

2) リスクへの対応が適時に実施されることを確保するために統制活動を適応させる

キヤノン株式会社は、これらに加え、当該重要な変化やそれらが内部統制に与える影響をキヤノン株式会社が考慮したことを示す十分な証拠が作成、維持されていなかったことも考慮し、開示すべき重要な不備(Material Weakness)が存在すると判断した。

当監査法人は、当連結会計年度の連結財務諸表の監査にあたり、当該開示すべき重要な不備(Material Weakness)の影響を考慮して、実施する監査手続の種類、時期及び範囲を決定している。」

抽象的な書き方で、どこが悪かったのかは、ぼんやりとしかわかりません。「重要な変化」や「十分な証拠」に言及しているので、例えば、新型コロナで、内部統制にも影響があるはずなのに、それをきちんと評価したという文書化が不十分だったというようなことなのでしょうか。

なお、「監査上の主要な検討事項」も記載されています。

「のれんの減損テスト ― メディカルシステム報告単位 ―」と「収益 ― 産業機器その他セグメントにおける長期契約 ― 」の2項目について書いています。

このうちのれんについては...

「会社の連結財務諸表には、当連結会計年度末において、915,564百万円ののれんが計上されており、内、506,513百万円はメディカルシステム報告単位に配分されている。測定日において同報告単位の公正価値が帳簿価額を上回った結果、当連結会計年度においてのれんの減損は認識されていないが、同報告単位については公正価値が帳簿価額を超過する割合が他の報告単位と比べて低くなっており、同事業の将来キャッシュ・フローが想定よりも減少した場合は減損損失が認識される可能性がある。」
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