大株主である香港系ファンドから社長再任反対の呼びかけが行われていたフジテック(東証プライム)で、会社が社長の取締役再任案を、株主総会当日に撤回したという記事。
「エレベーター大手のフジテックは23日、同日開く株主総会の議案のうち、創業家出身の内山高一社長を取締役として再任する議案を取り下げたと発表した。一部株主が創業家とフジテックとの間の取引を問題視し、議案に反対するよう呼びかけていた。内山氏は社長も退任する。後任を総会後の取締役会で選ぶ。」
「内山氏については、フジテック株の9%超を保有しているとみられる香港の投資ファンドのオアシス・マネジメントが再任に反対するよう他の株主に呼びかけていた。創業家である内山家が保有する法人とフジテックとの間で「多数の疑わしい関連当事者取引がある」などと主張していた。」
「フジテックは外国人の持ち株比率が4割超に達する。海外の機関投資家の議決権行使に影響を与える米助言会社大手のインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)とグラスルイスも内山氏の再任案に反対を推奨していた。」
関連当事者取引に関して、いくら会社が問題ないといっても、第三者委員会の結論が出ていない状況では、説得力に欠け、総会で再任が否決されるおそれや、賛成多数でも、再任反対の比率がかなり高くなるおそれがあったのでしょう。報告書でお墨付きをもらってから、あらためて、取締役に選任させようという意図なのでしょうか。会社は「調査結果で問題がないと確認できた際に改めて取締役就任の是非を株主に諮るべき」といってるそうです。
会社のプレスリリース。
第75期定時株主総会付議議案の一部撤回のお知らせ(PDFファイル)
フジテックの総会で注目、モノ言う株主の「荒技」
独自調査による反対運動は広がりをみせるか(東洋経済)
「これまでアクティビストがこうした資料を作る際には、公開情報を基に経営の問題を指摘するものが多かった。が、今回の案件は経営ではなく社長個人を標的としているほか、公開情報以外の要素も盛り込まれている。こうした手法が増えてくれば、経営者はますます警戒を強めなければならなくなる。」
「フジテックの関係者によれば、「フジテックは近年、関連当事者取引を減少させる方向で動いてきた」という。6月初旬には「今後は原則として関連当事者取引を行わない」という方針にも改めて言及しており、今後は類似の案件が起こらないように努めることを株主にアピールしている。」
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