会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

東芝監査のPwCあらたを調査 会計士協会、新日本は権利2カ月停止(SankeiBizより)

7月13日に会計士協会で開催された会長記者会見関連の記事を集めました。東芝の現会計監査人であるあらた監査法人への調査と、前任である新日本監査法人の懲戒処分が主なトピックとなっています。7月19日の協会定期総会前に、東芝問題に関して協会が何かやっているというのを宣伝したかったのでしょう。ロイターの記事は既に紹介済みですが、内容が更新されているようなので再掲します。

東芝監査のPwCあらたを調査 会計士協会、新日本は権利2カ月停止(SankeiBiz)

「日本公認会計士協会は13日、東芝の監査を担当するPwCあらた監査法人への調査を始めたことを明らかにした。PwCあらたは東芝の2016年4~12月期の四半期報告書で「意見不表明」としており、協会が経緯などを調べる。

協会の関根愛子会長が、同日の記者会見で明らかにした。PwCあらたと東芝は、米原発子会社の会計処理などをめぐって意見が折り合わず、17年3月期決算の発表も遅れている。関根氏は「憂慮しているが、適正意見の表明に向けて手続きが遂行されていると理解している」と述べた。」

監査や四半期レビューに関して、何か大きな不備が疑われるというのであれば、協会が調べるのは当然ですが、「意見(結論)不表明」を出すこと自体は、不備でも何でもありません。あらたの行った監査・レビューは不備だという情報が協会にあったのなら別ですが、そうでなければ現時点で調査をするというのは一種の圧力ではないのでしょうか。監査の中立性をそこねるように思われ、そのことの方が「憂慮」されます。

また、東芝の公式発表が正しいとすれば、あらたは会社と協力して、8月の有報提出期限に向けて日々監査手続をやっている最中のはずですが、そうした中で協会の調査への対応ができるのでしょうか。いま協会が調査を行うということは、監査作業を妨害することになるように思われます。それとも、本決算の「意見不表明」はすでに固まっており、監査手続はもうやっていないので、調査に対応できるということなのでしょうか。

会計士協会がPwCあらたの調査開始、東芝決算への意見不表明で(ロイター)

あらたへの調査について。調査のポイントにふれています。

「関根会長は、同法人が監査意見の不表明に至ったことについて「深く憂慮している」と述べた。

調査では、東芝を担当する監査チームが、東芝の米子会社を担当する監査チームの状況を十分に把握し適切に指揮していたのかが焦点の1つになる。

関根会長は、PwCあらたへの処分の可能性について「(処分するかどうか)どちらの方向というのは一切ない」と述べるにとどめた。そのうえで、東芝とPwCあらたが協力して、適正意見つきの有価証券報告書を提出するよう求めた。」

もし、どうやっても無限定が出せない場合に、無限定適正の意見を出したら、そのことの方が問題でしょう。

新日本の懲戒処分について。

「会計士協会は、東芝の不正会計問題への市場の関心の高さや社会的影響力の大きさなども加味して法人への処分に踏み切り、公表した。

鈴木昌治副会長は、東芝の監査を担当した会計士についても「調査・審議を行い、会則に則って適切に対応した」と話したが、具体的な処分内容や対象者は明らかにしなかった。」

具体的な監査不備の内容や対象者は、協会の会員専用ページで閲覧可能です。

東芝の監査法人を調査=「不表明」説明求める-会計士協(時事)

「PwCあらたが東芝の16年4~12月期決算を「適正」か「不適正」か意見を示さない「結論不表明」とした経緯の説明を求める。「不表明」の妥当性についても精査する方針だ。

東芝は監査作業が遅れ、決算が確定しないことから6月末が法定期限の17年3月期有価証券報告書の提出を8月10日まで延期した。関根会長は「監査の不表明や有価証券報告書の提出遅延を憂慮している。事実の把握や必要な対応を図っていく」と語った。」

東芝監査法人の対応に問題なかったか 会計士協会が調査(NHK)

「経営再建中の東芝は、アメリカの原子力事業の会計処理をめぐって、去年4月から12月までの決算発表を2度にわたって延期したうえで、ことし4月に発表しましたが、その際、「PwCあらた監査法人」は、決算内容を承認せず、結論を示さない「意見不表明」という異例の判断をしました。

これについて、監査法人などでつくる日本公認会計士協会の関根愛子会長は、13日の記者会見で、「意見を表明しないまま監査の報告書を提出するのは非常にまれなことで、重く受け止めている。資本市場に大きな影響を及ぼすので、会社と監査法人が努力して適正な意見が表明されることが大事だと思う」と述べました。

そのうえで、「PwCあらた監査法人」による監査の手続きや判断などに問題がなかったか、協会として調査していることを明らかにしました。」

東芝の不正会計問題 担当監査法人を懲戒処分(テレビ朝日)

「懲戒処分については通常、会員や準会員のみに公表されますが、日本公認会計士協会の関根会長は「本事案に対する社会的関心が強く、社会的影響を考慮し、公表することとした」と説明しました。」

新日本は、正当な注意を払わずに無限定適正意見を出したことで処分されました。あらたは、無限定適正を出さなかったことで処分されるのでしょか。

東芝不正会計で新日本監査法人を処分 会計士協会(朝日)(記事前半のみ)
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「会計監査・保証業務」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事