日本公認会計士協会が7月1日に開催した記者会見の資料が公開されました。
以下、「記者会見要旨」より気になった事項です。見出しはこちらで付けました。
会⾧声明「公認会計士法の改正について」発出について。
「これまで協会の自主規制の枠組みにおいて運用していた上場会社監査事務所登録制度について、法律の下で運用する枠組みに変更するとともに、詳細設計と運用は引き続き協会が行うこととされたことは、協会の自主規制を尊重していただいた結果だと認識しています。」
「一方で、これまでの自主規制の仕組のままで今後も運用するのではなく、上場会社監査事務所に対する監査法人のガバナンス・コード適用と監査法人の情報開示の充実を促すなど、協会としても本制度の改善を進め、より実効性の高い仕組みとして運用してまいります。」
「法律改正に向けた議論の過程において、行政が法令に詳細な規定を定めて民間企業を法令に基づき直接検査することとなると、民間企業が検査対応に注力するあまりかえって活力を削ぐことを懸念すると一貫して主張してまいりました。」
「当協会は、今回の改正事項以外にも、公認会計士に求められる資質・能力の変化に適応した試験・育成制度の在り方などの重要な課題が残されていると考えており、数年以内にもう一度改正の議論をしていただきたいと申し上げています。」
「今回の改正内容を具体的に現場に落とし込むためには、内閣府令等の改正が必要になります。この規則の改正はおそらく8月中旬頃から本格的に行われますので、協会としてもしっかり対応してまいります。」
令和4年度公認会計士試験の第Ⅱ回短答式試験について。
「答案提出者数は第Ⅰ回と合わせて2万人近く(第Ⅰ回 9,949 人、第Ⅱ回 9,870 人)、第Ⅰ回と第Ⅱ回の重複受験者を名寄せすると 12,625 人となり、昨年(9,524 人)、一昨年(8,549 人)と比べ増加しています。」
「受験者数増加の明確な理由は明らかになっていませんが、留学できなくなったため公認会計士試験を目指す人が増えたこと、社会人が自分の価値を高めてより良い仕事を求めていることなどが考えられるようで、初学者の方が増えたと聞いています。今後もこの傾向が続くと良いと思っています。」
「金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告」について。
「四半期開示について、金融商品取引法に基づく四半期報告書と取引所規則に基づく四半期決算短信には重複がみられるため、両者を一本化してはどうかという方向性が示されました。」
「開示書類に対するレビューや適時開示の内容など詳細は8月中旬以降、さらに議論が進められると聞いており、協会としても建設的な議論をして市場に貢献していきたいと考えています。」
令和5年度税制改正意見書の公表について。
「インボイス制度については、他の団体からも協会はインボイス制度に対してどういう考えを持っているか聞かれることがあります。」
「協会の考えとしては<資料6ʷ3>第二部Ⅰ5.(1)に記載のとおりインボイス制度の導入が消費税の転嫁の適正化に資するものと期待しています。」
「この数か月の物価高などがある中で、インボイス制度が適切に活用されれば、価格転嫁が起こり、賃上げ税制が組み合わさればデフレ経済脱却にきちんと道筋を立てることができるのではないかと考えております。 」
「協会はインボイス制度の開始自体に反対という立場ではなく、むしろ中小事業者における事務負担軽減こそが重要であると考えています。 」
四半期開示見直しについて、会計士業界の仕事の範囲が縮小するという話でもあるのに、人ごとみたいにいっているのが注目されます。どうしても四半期レビューを残せ、少なくとも半期は中間監査かレビューをやらせてほしいといった主張がありそうなものですが、もうすでに話がついているのでしょうか。
インボイス制度でデフレ経済脱却というのは、信じていいのでしょうか。インボイスとは関係なしに、スタグフレーションの方向に進んでいるとしか思えないのですが...
会計士試験に関しては、受験者数は増えているものの、短答式合格者数は、前年とほぼ同じ(若干減っている)という状況です。
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