会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

〈信用調査ファイル〉歯科矯正「実質無料」で破綻 甘い話で勧誘、社債販売でも(日経より)

〈信用調査ファイル〉歯科矯正「実質無料」で破綻 甘い話で勧誘、社債販売でも(記事冒頭のみ)

7月19日に破産手続開始決定を受けた「Earther」という会社とそのあやしいグループ会社群の破綻を取り上げた記事。

歯並びの矯正治療を実質無料で受けられるとして利用者に高額なローン契約を組ませトラブルになった「デンタルオフィスX」の実質的な運営会社「Earther」(東京・港)が7月19日、東京地裁より破産手続き開始決定を受けた。同商法は、好条件すぎる社債の購入を勧誘し巨額の資金を集めた後に経営破綻した「ザ・グランシールド」(東京・中央)のもう一つの顔でもあった。」

歯科矯正の利用者は、信販会社のローンなどで施術費を一括支払いしますが(治療自体は長期にわたって行われる)、その後矯正効果をPRするモニター報酬(施術費用と同額)を受け取ることができ、実質的に無料で歯科矯正を受けられるというスキームのはずでした(モニターの契約先はグランシールド)。しかし、2022年3月にモニター報酬の支払いがストップし、治療の予約も取れなくなってしまいました。累計で約1700人が契約していたそうです。

キャッシュフロー的には、最初に施術費を一括払いで一挙に受け取り、その後、実際の治療費用と契約者へのモニター報酬の支払いが徐々に発生、それをネズミ講的に拡大していくことにより、しばらくは事業がうまくいっているように見えたのでしょう。(ただし、舞台となるクリニックの開設のために、ある程度費用が最初にかかっているようです。)

ザ・グランシールドは、年利20%という社債を投資家に販売し、多額の資金を集めていました。そのほか、トラステールという債務保証会社も社債を発行し、グランシールドはその元本の20%を紹介料として受け取っていたそうです。

おもしろい名前の会社も登場します。

「もう一社、売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービスなどを手掛ける財務会計支援機構(東京・千代田)も関与していた。同社代表は、トラステールの取締役に就くとともに、社債の募集要項の作成やグランシールドに対する紹介料の振込業務などを行っていた。」

民間営利会社なのに、公的機関と紛らわしい名前をつけるというのは、あやしすぎます。(監査法人財務会計監査機構で登録申請したら受理されるのだろうかなどと考えてしまいました。)

2023年2月と6月に、それぞれトラステール社債とグランシールド社債の利払いが停止、その後、10月にトラステール、12月に財務会計支援機構とグランシールドが、破産手続開始決定となります。

刑事事件としては、2024年5月にグランシールド社長やトラステール社長らが金商法違反で逮捕、その後起訴されたそうです。

失われた27億円 前代未聞の歯科矯正トラブル を1年に渡って徹底追跡取材(テレビ朝日)

「番組はクリニックの経営陣らが閉院前に行っていた、社内会議の録音を入手した。

その内容は驚くべきものだった。

クリニックの運営会社「ザ・グランシールド」中村佳敬社長
「全体に説明文、ロシアとかウクライナとか突っ込みどころ満載の文章が出ていたんですけれども、今となって思えば、あの時はあれが最善だったなっていうくらい笑える内容なんですね。炎上してくれぐらいの内容」

ウクライナ・ロシア問題の説明は、ウソだったことを認めていた。」

「モニター事業を考案した、中心的な人物は3人。クリニックの開業資金を中村社長が出資。顧客管理は関連会社「アーサー」の小島隆一(こじま・りゅういち)社長が担当。

マウスピース矯正の治療計画を、歯科医師の伊藤剛秀氏が担当した。

中村社長によると。患者から集めた金を、投資に回して利益を出し、毎月、5万円をキャッシュバックする計画だったという。」

「中心人物であるはずの3人、ザ・グランシールド社の中村佳敬社長、アーサー社の小島隆一社長、伊藤剛秀歯科医師が全員、「報酬はもらっていない」「金はない」などと主張した。

番組が、ザ・グランシールド社の口座を確認すると、現在の残高は、わずか618万円だった。」

歯を8本抜いたまま治療中断…40歳女性はお金も失った グランシールド矯正モニター契約者「心が折れそう」(東京新聞)

マウスピース歯科矯正「実質無料」トラブルで業界大激震、被害は1000人・10億円以上か(2022年8月)(ダイヤモンドオンライン)(記事の一部のみ)

「絶対つぶれない」と豪語 元トップクラスの営業マン―人脈生かし顧客勧誘(時事)

「関係者らによると、中村容疑者は「2016年にグラン社を設立するまで、大手生命保険会社の全国トップクラスの営業マンだった」と周囲に説明。製薬会社勤務の経験もあったといい、グラン社ではそれまでに培った人脈を生かし、顧客を勧誘していた。」

1300人から80億円募ったか コンサル会社社長ら8人逮捕―社債投資の無登録勧誘容疑・警視庁(時事)

「同課は中村容疑者らがトラステールの社債や株式の販売を通じ、昨年2月ごろまでの約6年間で、36都府県の計約1300人から約80億円を集めたとみている。」

「中村容疑者は17年、トラステール側から株式の販売を依頼された。6年間で報酬として少なくとも計10億円を受け取り、高級外車の購入や、月額250万円のマンションの家賃、飲食店での遊興費などに使ったとみられる。」

6年間、金融庁は何をやっていたのでしょう。

「80億円違法集金」“色仕掛け美女”容疑者の卑劣な態度急変LINE…40代被害者は負債900万円で怒りの訴訟(Yahoo)

「逮捕から約2カ月が経過したが、まだ多くの被害者が頭を抱えたままだ――。

「グランシールド社の手口としては、中村容疑者の“愛人”でもあった××(旧姓・××)××容疑者、××××容疑者らが“色仕掛け”も交えながら、男性の顧客から多額の集金をおこなっていたのが特徴的でした。集金額はこの2人だけで、40億円超だったとされています」(社会部記者)

中村容疑者が通っていたキャバクラから“スカウト”し、営業社員になったという××容疑者。顧客に対して、社債の配当による自身の羽振りのよさをたびたび自慢し、信用を得ていたという。」

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「企業会計」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事