買収先過大評価疑惑の「アイ・シー・エフ(ICF)」が買収した16社のうち11社は、3年未満で転売されたり破産したりしているという記事。
「買収時の評価額計81億6000万円に対し、売却総額は21億円にとどまり、当時の買収担当者は「企業価値の算定がずさんで根拠が薄かった」と証言する。大阪府警と証券取引等監視委員会は、買収そのものが目的化していたとみている。」
「ICFは04年4月~06年1月、株式交換で計16社の買収を繰り返し、自社の株価は最大で4.6倍に上昇した。買収先のうち9社は10カ月~3年未満で転売され、別の2社はそれぞれ9カ月と1年5カ月後に破産手続きに入った。 」
まともな買収でも80億円が20億円になってしまうということはあり得るので、それ自体がおかしいとはいえません。しかし、記事でいっているような疑惑が本当で、20億円程度の価値しかないことがわかっていたのに、80億円分の自己株式を渡していたとしたら、重大な不正です。キャッシュの流出はないとしても、株主の利益を損なっており、また、会社がパーチェス法で会計処理していた場合には、資産(特にのれん)の過大計上になります。
こうした事件が大きく取り上げられるようになると、企業買収のときのデューデリジェンス手続がますます重要になってきます。きちんと手続きしていないと、買収した会社がうまくいかなかった場合には経営者が責任を問われる可能性が高くなります。
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