日本経団連は、「会計基準の国際的な統一化へのわが国の対応」と題する意見書を2008年10月14日に公表しました。
経済界に弱い金融庁は、これをもとに今後の会計制度を作っていくことが予想されます。
重要と思われる点は以下のとおりです。見出しは当方でつけました。
ロードマップの作成
「米国がIFRSの採用に向けた方向性を示唆した今日、主要先進国の中で、IFRSの採用を正式に表明していない国は日本のみとなっている。既に、海外に上場する日本企業のなかには、IFRSの使用に向けた準備を開始する企業も増えつつある。日本も国際的な潮流を勘案しつつ、IFRSの採用を含む、今後のわが国会計基準の方向性に関する検討を加速し、具体的なロードマップを早急に作成すべきである。」
IFRSの適用
「IFRSの適用は、当面の間、IFRSと日本基準(現在、適用が認められている企業においては米国会計基準を含む)の選択制とすることが適当である。しかし、同一市場において複数の会計基準が長期間にわたり並存することは、投資家の利便性や市場の信頼性の観点から望ましいとは言えない。将来的には、基準の統一が必要と考えられるが、IFRSの義務付けを行う場合には、その適用時期については、最終決定を下した後、最低でも3年程度の準備期間が不可欠(早期適用可)となろう。」
IFRS適用会社
「適用対象会社の範囲については、四半期報告書提出会社や内部統制報告制度の対象会社同様、金融商品取引法上の上場会社とすることが適当と考える。」
IFRSを適用する財務諸表
「適用は連結財務諸表に限定すべきである。」
「個別財務諸表へIFRSを選択適用することも検討すべきである。」
金商法開示制度における個別財務諸表の位置づけ
「金融商品取引法上の財務諸表開示は、可能な限り連結財務諸表に一本化し、個別財務諸表に関する開示は抜本的な簡素化を図っていくべきである。」
日本基準の方向性
「約3900社の上場会社に対して、当面、IFRSと日本の連結会計基準の選択適用を認めた場合、市場における二つの基準の整合性を図る観点からも、日本の連結会計基準は、東京合意に基づく現在の計画に則ったコンバージェンス作業を継続していく必要がある。」
「連結会計基準(約3900社が対象)と、会社法、税法での目的が中心となる個別会計基準(約250万社が対象)の間では、差異が生ずること(連結会計基準を先行して国際化していくこと:連結先行論)は当然の流れといえる。」
「個別会計基準は、その役割上求められる範囲内での見直しに留めるべきである。」
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