IPOに関する上場制度等の見直しに係る有価証券上場規程等の一部改正について(PDFファイル)(「規則改正新旧対照表」より)
IPOに関する上場制度等の見直しについて(パブコメに対して「提出された意見とそれに対する考え方」が掲載されています。)
東京証券取引所は、有価証券上場規程等の一部改正を、2023年3月10日付で行いました。2023年3月13日から施行です。
「今回の改正は、新規上場を目指すスタートアップの企業特性・ニーズ等に多様化が見られる中、スタートアップにおける新規上場手段の多様化を図る観点から、新規上場プロセスの円滑化やダイレクトリスティングの環境整備など、政府の「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画・フォローアップ」(昨年6月7日閣議決定)等に掲げられた事項も含めて、所要の上場制度等の見直しを行うものです。」
以下、「概要」より「改正概要」(抜粋)。
「1.新規上場プロセスの円滑化
(1)新規上場申請書類
a.監査報告書
・新規上場申請者が「新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)」に添付する監査報告書に関しては、上場承認時までに提出すれば足りるものとします。
b.組織再編時の財務情報
・スタンダード市場又はプライム市場への新規上場申請者が、最近2年間又は新規上場申請日の属する事業年度において、組織再編行為等(合併、株式交換、株式移転、株式交付、子会社化・非子会社化、会社分割又は事業譲受け・譲渡)を行っている場合には、その対象となる会社又は事業について、下表のとおり、重要性に応じて財務情報の提出を求めるものとします。
対象となる会社又は事業の規模 必要となる財務情報
主体である場合 その財務情報(要監査)
重要な影響を与える場合 その財務情報の概要を記載した書類(監査不要)
重要な影響を与えない場合 ―
※原則として、「主体である」とは、新規上場申請者の規模よりも大きいことを、「重要な影響を与える」とは、新規上場申請者の規模に対して過半であることをいうものとします。(規模の大小は、当該組織再編行為等を行う直前における総資産額・純資産の額・売上高・利益の額等を比較して決定するものとします。)
・あわせて、主体である会社又は事業を利益の額等の形式要件の審査の対象とします。
(2)形式要件
a.事業継続年数
・株式会社として継続的に事業活動をしている期間を審査対象とし、取締役会を設置してからの経過年数は問わないものとします。
b.時価総額及び流通株式時価総額
・公募又は売出しを行う場合においては、有価証券届出書に記載される想定価格に代えて、価格決定日に決定された公募又は売出しの価格に基づき算定された金額を審査対象とするものとします。
(3)上場審査
・新規上場申請者は、定時株主総会の到来(決算の確定)にかかわらず、新規上場申請日から1年の間は、改めて新規上場申請を行わず上場審査を継続できるものとします。
(4)初値形成
・直接上場銘柄の上場日の売買において成行売呼値及び成行買呼値を禁止するものとします。なお、新規上場日に売買が成立しなかった場合は、初値決定日まで成行呼値を禁止します。
2.ダイレクトリスティングの導入
・グロース市場への新規上場申請者は、新規上場時において時価総額が250億円以上となることが見込まれる場合には、新規上場に際して公募の実施を行わなくてもよいものとします。
3.純資産の額に関する上場維持基準の見直し
・グロース市場上場会社が、事業年度の末日において純資産の額が正でない状態となった場合においても、時価総額が100億円以上である場合(当該状態となった理由が中長期的な企業価値向上に向けた投資活動に起因して生じた損失によると当取引所が認めた場合に限る。)であって、基準の適合に向けた計画を適切に開示しているときには、当該計画の計画期間に基づき改善期間を設定するものとします。」